2020.09.21
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Gショックの生みの親に聞く、想い出モデルと普段使いモデルBEST 3

タフネス時計の雄として君臨する「Gショック(G-SHOCK)」。

“壊れない時計”として1990年代に一世を風靡してからというもの、その人気は停滞するどころか、さらに熱量を増し、時計離れが騒がれる現代でも「男たちのマストハブ」として愛されている。

正真正銘のGショック初号機
これが正真正銘のGショック初号機。特別な意味が込められているが、それは下にて!

Gショックの初号機、DW-5000Cのリリースは、1983年にまで遡る。それから35年以上の月日が経過していくなかで、タフネスの象徴であるこのリストウォッチは、数々の派生モデルが登場。その種類はもはやメーカーでも管理しきれないほどで、累計の出荷本数は1億を超えている。

では、我々はどんな基準で選べばいいだろうか。

今回は初代Gショックの開発者の伊部菊雄さんに、想い出のモデルを3本と、日常的に愛用している時計3本をそれぞれセレクトしてもらうことにした。

生みの親である伊部さんが厳選したGショックとは? まずは「想い出のモデル BEST 3」から発表!

「Gショック開発秘話」編はコチラから

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想い出のモデル BEST 3

①DW-5000C PROJECT TEAM “Tough”

「どれか1本を選べと言われたらもちろん、間髪を入れずにこれをピックアップします。Gショックの初代モデルです。

ただ、この時計は特別で、ベゼルに当時のプロジェクトチーム名『PROJECT TEAM “Tough”』の文字が記されています。最終的な開発メンバー8人のためだけに作ったモデルなんですね。

でも、これほどまでにヒットするとは誰一人として思っていなかったので、ほかの人は捨ててしまったりしていて(笑)。私でさえ、たまたま机に入っていることに後々気が付いたくらいですから。なので、現存しているのは、こちらと広報用の1本と合わせて2本のみになります。

Gショックは、衝撃耐久構造はもちろんですが、ケースとストラップが一体化されている外側のウレタン部分も、依頼した工場の並々ならぬ努力がなければ決して実現しませんでした。この一本はすべての関係者の情熱が詰まった、努力の結晶なんです」。

 

②MRG-100/MRG-110T

「MR-Gのデビュー作は、Gショック史上初のメタル仕様のモデルになります。

’90年代に若者の間で大ブレイクしたことをとてもうれしく思うと同時に、末長くGショックを愛してもらいたいと思い、よりフォーマルな時計の開発に踏み切りました。

当初、社内では一部『メタルのGショックは市場から受け入れられない』という声もあり、何より、プロジェクトをともにした技術者たちから、ウレタンのベゼルは衝撃吸収に最も欠かせないパーツなので、構造上、不可能だと言われました。それは、何度も実験した僕が誰よりよくわかっていたのですが(笑)。

人が触った程度ではわかりませんが、実はこのMR-Gのベゼルは、衝撃を吸収するように少しだけ沈む構造になっています。車のバンパーのようなイメージと言えばわかりやすいかもしれません。

『みんなが欲しい時計を作ろう』とディスカッションを重ねて3カ月。そして、『耐衝撃性を持ったメタルの時計』の誕生までには約2年の歳月を要しましたが、今でも本当によくできたなと思うばかりです」。

 

③G-D5000-9JR

「私のプロジェクトはいつも、非常識から始まります(笑)。

Gショックは、丈夫な時計の『究極』ですよね? そこで、35周年の節目を迎えるにあたり、そこにもうひとつ『究極』を付け足したい……ということで、メタルの究極である『金』を使ったGショックを作ることにしました。

当初はあくまで非売品のコンセプトモデルとして発表するつもりだったんです。なぜなら金なので、トイレの3階から落とすといった落下試験はできませんからね(笑)。発案当初はギラギラしないか心配でしたが、完成すると意外とそんなことはなくて。裏蓋に私の名前が入っているのは、多方面からのリクエストに応えて、です(笑)。

裏蓋には伊部さんのお名前が! なんとも神々しい。

でも、同機がお披露目されるとファンの皆様から『欲しい!』という声が相次いでしまって。いよいよ会社としても無視できないほどのラブコールとなり、結果として35周年の締め括りに、35本限定受注生産という形で一般販売することになりました。

実はこのモデル、外装パーツもすべてが金のため、構造も通常のGショックとは異なる新しい仕組みを採用しています。そういう観点から見ると、このモデルの最大の成果は、シルバーの派生モデル、GMW-B5000D-1JFを定番アイテムとして作り出せたことですね」。

金のGショックから派生して生まれた「GMW-B5000D-1JF」。

さて、お次は「普段使いモデル BEST 3」を紹介してもらおう!と思ったら……。

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・普段使いモデル BEST 3

「BEST 3と言われたのですが、私、そもそもGショックはこの3本しか持っていなくて。

皆さんには、僕の家にはショーケースがあり、そこにズラリとGショックが並んでいると思われているようですが、実際は真逆で、所有している時計は最小限です。

所有しているGショックはすべてDW-5600。この大きさが私の体型にはベストなんですよね。

ブラックは、電波ソーラーモデル。ホワイトは、ストラップに世界80都市で開催しているグローバルイベント『SHOCK THE WORLD』の文字がプリントされていますが、これはジャカルタ開催の限定モデルです。現地の主催者に1本しか持っていないことを伝えたら、ご好意でプレゼントしてもらいました。

ブラックを春と秋、ホワイトを夏用とした場合、冬用にもう1本欲しいなと思って買い足したのが、30周年の際に発表されたレッドのモデルになります」。

意外や意外。まさか、Gショックの父が所有しているGショックが、わずか3本だけとは……!

しかし、これは毎日同じGショックをしても壊れないことを、開発者自らが証明しているとも言える。

やはり、唯一無二のタフネスウォッチであるGショックは、一生ものなのだ。

 

市川明治=取材・文

# カシオ# G-SHOCK# Gショック# 時計
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