想い出のモデル BEST 3
①DW-5000C PROJECT TEAM “Tough”「どれか1本を選べと言われたらもちろん、間髪を入れずにこれをピックアップします。Gショックの初代モデルです。
ただ、この時計は特別で、ベゼルに当時のプロジェクトチーム名『PROJECT TEAM “Tough”』の文字が記されています。最終的な開発メンバー8人のためだけに作ったモデルなんですね。
でも、これほどまでにヒットするとは誰一人として思っていなかったので、ほかの人は捨ててしまったりしていて(笑)。私でさえ、たまたま机に入っていることに後々気が付いたくらいですから。なので、現存しているのは、こちらと広報用の1本と合わせて2本のみになります。
Gショックは、衝撃耐久構造はもちろんですが、ケースとストラップが一体化されている外側のウレタン部分も、依頼した工場の並々ならぬ努力がなければ決して実現しませんでした。この一本はすべての関係者の情熱が詰まった、努力の結晶なんです」。
②MRG-100/MRG-110T「MR-Gのデビュー作は、Gショック史上初のメタル仕様のモデルになります。
’90年代に若者の間で大ブレイクしたことをとてもうれしく思うと同時に、末長くGショックを愛してもらいたいと思い、よりフォーマルな時計の開発に踏み切りました。
当初、社内では一部『メタルのGショックは市場から受け入れられない』という声もあり、何より、プロジェクトをともにした技術者たちから、ウレタンのベゼルは衝撃吸収に最も欠かせないパーツなので、構造上、不可能だと言われました。それは、何度も実験した僕が誰よりよくわかっていたのですが(笑)。
人が触った程度ではわかりませんが、実はこのMR-Gのベゼルは、衝撃を吸収するように少しだけ沈む構造になっています。車のバンパーのようなイメージと言えばわかりやすいかもしれません。
『みんなが欲しい時計を作ろう』とディスカッションを重ねて3カ月。そして、『耐衝撃性を持ったメタルの時計』の誕生までには約2年の歳月を要しましたが、今でも本当によくできたなと思うばかりです」。
③G-D5000-9JR「私のプロジェクトはいつも、非常識から始まります(笑)。
Gショックは、丈夫な時計の『究極』ですよね? そこで、35周年の節目を迎えるにあたり、そこにもうひとつ『究極』を付け足したい……ということで、メタルの究極である『金』を使ったGショックを作ることにしました。
当初はあくまで非売品のコンセプトモデルとして発表するつもりだったんです。なぜなら金なので、トイレの3階から落とすといった落下試験はできませんからね(笑)。発案当初はギラギラしないか心配でしたが、完成すると意外とそんなことはなくて。裏蓋に私の名前が入っているのは、多方面からのリクエストに応えて、です(笑)。
でも、同機がお披露目されるとファンの皆様から『欲しい!』という声が相次いでしまって。いよいよ会社としても無視できないほどのラブコールとなり、結果として35周年の締め括りに、35本限定受注生産という形で一般販売することになりました。
実はこのモデル、外装パーツもすべてが金のため、構造も通常のGショックとは異なる新しい仕組みを採用しています。そういう観点から見ると、このモデルの最大の成果は、シルバーの派生モデル、GMW-B5000D-1JFを定番アイテムとして作り出せたことですね」。
さて、お次は「普段使いモデル BEST 3」を紹介してもらおう!と思ったら……。
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