酒先案内人に聞く。ハレの日ギフトに最適なシャンパン6本
年末、大切な友人やお世話になった人に感謝の気持ちを伝えるのに相応しい贈り物として、いつもとはひと味違う「おいしい」ギフトはどうだろう。喜ぶ顔を想像しながら贈ってもいいし、お宅に持って行って一緒に楽しんでもいい。取り寄せて、我が家でもてなすというのも楽しい。
そんな年末を彩る食ギフト、今回はツウや達人のおすすめに基づいてハレの酒、シャンパン&人気高まる日本ワインをラインナップ。さて、誰にどれを贈ろうか。
泡で始まり、日本ワインで盛り上がる。
食事に呼ばれたときの手土産やギフトの酒にワインを選ぶ人は少なくない。しかし、贈るツボを心得ている人は多くない。今回は酒の達人にシャンパンとワインについておすすめを教えていただいたが、その中の1人、ソムリエの露木崇浩さんにギフトとしてワインを選ぶポイントを聞いてみた。
「見た目やおいしさ、価格などポイントはありますが、大切なのは意外性ですね。渡すときに、どうしてそのワインを選んだのかを話したりしますよね。ですから、ちょっとした意外性を持っているものを選ぶと、ワインを語りやすくなると思います」。
なるほど話題になる意外性。そんな「意外性」を持っているのが日本ワインだ。古くからワイン造りが盛んだった山梨県や長野県だけでなく、近年では九州やなんと東京23区内でもワインが造られている。しかも、おいしい。
「今まで味わいに物足りなさを感じていた人もいたと思うのですが、最近の日本ワインはそんな思い込みを軽々ひっくり返すくらいおいしくなっています。それは造り手の研究や工夫ゆえの結果です。最近では、醸造するだけでなく、どんな料理と合わせてほしいかまで考え、併設のレストランでワインと一緒に料理を楽しめる、というワイナリーも増えてきています」。
そんな注目の日本ワインのギフト、どう選んだら良い?
「日本酒だと地元の酒をお土産で持ってきましたといったケースがよくありますが、ワインもそれでいいと思います。馴染みある土地のお酒を友人やお世話になった人に楽しんでもらうというのも、ひとつのワインの楽しみ方だと思いますし、贈り手の思いが伝わり、話題も広がるんじゃないでしょうか」。
そして、ギフト用の酒として忘れてはならないのが、シャンパンだ。「古来から王族の祝いの席のお酒であり、庶民には憧れの存在でした」(露木さん)というシャンパン。今でもここぞというセレモニーには欠かせない、いわばハレのお酒である。そもそもシャンパンとは、フランス・シャンパーニュ地方で造られたものだけを指す。
「ここしばらく、イタリアのプロセッコ、スペインのカヴァに押されてシャンパンの売上高は減少気味でした。でも、シャンパンも伝統にとらわれず味わいを進化させ、各国のスパークリングワインと競り合うようになってきています」。
今回、露木さんと武笠陽一さんという2人の達人が選んでくれたシャンパンも、王道から知る人ぞ知る逸品まで幅広い。
「それぞれに魅力がありますが、もし、贈る相手の味の好みがわかれば、それに近い味わいのシャンパンを選ぶのが良いでしょう。また、贈るシーンによって、ブリュットかロゼのどちらが似合うかでも選べます。そしてギフトですから、限定品であることやボトルの華やかさなど、見た目も大切なポイントです。最初に包装を開けたときの、驚きや感動をつくってくれますから」。
大事なのは贈るシーンをイメージすること。あの人とどんな会話が広がるかな……と考えながら選ぶのも、楽しい時間になるはずだ。
モエ・エ・シャンドン「グラン ヴィンテージ 2012」

世界中で愛されているシャンパンブランド、モエ・エ・シャンドンで、ブドウの出来が良かった年に、その年のワインだけを使って造られる74番目のヴィンテージシャンパンがこの「ヴィンテージ 2012」。2012年は、収穫量は少ないながらも甘味と酸味が過去10年で最も傑出したブドウが獲れたという。
「シャンパンの入り口としておすすめしたいモエ・エ・シャンドン。特にこの『グラン ヴィンテージ2012』はエチケットのカッコ良さが光り、贈り物としてぴったりです」。(露木さん)
MHD
モエ ヘネシー ディアジオ
03-5217-9906
https://moet.com/
テタンジェ「プレリュード グラン・クリュ」

フランス大統領の主催するレセプションや、5年連続でノーベル賞授賞式の晩餐会で供されたことでその名が知られているテタンジェ。「プレリュード グラン・クリュ」は、特級畑のグラン・クリュのブドウだけを使用し、シャルドネとピノ・ノワールを半分ずつブレンドした、繊細さと複雑さが融合したシャンパン。
「高級感漂う佇まいで、ギフトにおすすめ。テタンジェは芸術性、文化を大事にしており、シャンパンというひとつの芸術をつくり出すことに長けているのです」。(露木さん)
サッポロビールお客様センター
0120-207-800
www.sapporobeer.jp
クリストフ・ ルフェーヴル
「ブラン・ド・ブラン・ブリュット キュヴェ・アレクサンドリーヌ 2010」

ワイナリーオーナーのクリストフ・ルフェーヴルは、創業当初から除草剤や農薬を使わないブドウ栽培にこだわり、ナチュラルをモットーにワイン造りをしている。こちらは、7年半に及ぶ瓶熟成を経て澱引きされたヴィンテージシャンパン。
「樹齢約60年の古木の有機栽培シャルドネで造られたブラン・ド・ブラン。繊細かつ圧倒的なミネラルとエッジ、熟成による少しの円熟味と複雑性。2010年のシャンパンにして、まだまだ上るポテンシャルの高さです!」。(武笠さん)
ヴァンクゥール
03-5280-3001
http://vinscoeur.co.jp
ゴッセ「グラン ロゼ」

1584年に設立された、シャンパーニュ地区で最も古い歴史を持つメゾンのひとつであるゴッセ。伝統の手法にこだわり、ブドウのピュアな味わいを保っている。「グラン ロゼ」の華やかなサーモンピンク色と、きめ細かな泡立ちは年末年始のハレの気分にぴったり。
「知名度こそあまり高くありませんが、味わいはロゼのシャンパンの中でもピカイチ。ボトルや箱にも重厚感があり、贈り物におすすめです」。(露木さん)
テラヴェール
03-3568-2415
https://terravert.co.jp
ドゥラモット「ブリュット」

この100年の間にリリースされたのはわずか41ヴィンテージという希少なシャンパンブランド、サロンの姉妹ブランドであるドゥラモット。ドゥラモットのシャンパンは、サロンが造られなかった年のブドウで造られており、醸造もサロンのチームが手掛けているというから、その近似性にもうなずける。
「上品な酸味と旨味を感じます。幻のシャンパン『サロン』の姉妹メゾンということで、話題の尽きないシャンパンです」。(露木さん)
ラック・コーポレーション
03-3586-7501
https://delamotte.jp
ガストン・シケ「スペシャル・クラブ・ブリュット、グラン・クリュ2011」

シャンパーニュ地方の高名なクリュ(畑)の持ち主がつくった団体「クラブ・トレゾール・ド・シャンパーニュ」に加盟する生産者のみが造り、厳しいテイスティング審査のあとに「スペシャル・クラブ」という名でリリースすることを許されているという1本。
「知る人ぞ知る素晴らしいシャンパン。贈る際の話題にも事欠きませんが、何よりも一度飲めばその味を忘れることができないほどおいしく、きっと心に刻まれるはずです」。(露木さん)
ベリー・ブラザーズ&ラッド日本支店
03-3518-6730
www.bbr.co.jp
本特集の酒先案内人
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中山文子=写真 常田朝子=イラスト 川瀬佐千子=編集・文