37.5歳からの愉悦 Vol.113
2019.10.03
LIFE STYLE

元住吉の馬刺酒場で、素直な看板娘が素直な馬刺を運んできた

看板娘という名の愉悦 Vol.85
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。雰囲気が良くて落ち着く。行きつけの飲み屋を決める理由はさまざま。しかし、なかには店で働く「看板娘」目当てに通い詰めるパターンもある。もともと、当連載は酒を通して人を探求するドキュメンタリー。店主のセンスも色濃く反映される「看板娘」は、探求対象としてピッタリかもしれない。

東急東横線の元住吉駅。タワーマンションが立ち並ぶ武蔵小杉駅と慶應大学のキャンパスがある日吉駅に挟まれたのどかな街だ。

元住吉駅
東急目黒線も乗り入れている。

今回訪れたのは、東口を出てすぐの「大衆酒場 ツネキチ」。

外観
17時からオープン。
外観
「馬刺しがウリの大衆居酒屋」とある。
看板娘
開店したての店内には看板娘の姿。

お勧めドリンクはレモンをキンミヤ焼酎に5日間漬け込んだ「自家製レモンサワー」(420円)。いただきましょう。

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看板娘、登場

看板娘
「お待たせしました〜」。

こちらは慶應大学に通う恵梨華さん(20歳)。名古屋出身で双子の兄がいる。

「友達に『写真見せてよ』と言われますが、めちゃめちゃ人見知りで写真を撮らせてくれないんです。二卵性だから顔は似ていません」。

メニュー
フードはやはり馬刺しだろう。

馬刺三種盛り(950円)と馬白子ポン酢(580円)を注文した。店長が馬肉業者と昵懇で、部位によって産地を分けて仕入れている。

馬刺し
モモ、霜降りバラ、タテガミ。

コリコリとした食感の白子は馬の脊椎だという。

内観
1階は立ち飲み、2階は着席スタイル。
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恵梨華さんは中学受験経験者。小学校時代は部活にも入らず、ひたすら勉強の日々だったと振り返る。

「学校の授業が終わると塾の自習室に直行です。塾が急坂の上にあったから自転車は立ち漕ぎ。エントランスには親御さんからのお弁当がずらっと並んでいて。ほっともっととかの持ち帰り弁当の子もいたけど、うちはお母さんの手作り弁当でした」。

スマホ
スマホにはお気に入りのクマちゃん。

晴れて合格したのは中高一貫の女子校。やがて、同じ塾に通う同級生と仲良くなった。

「塾の近くの公園で鬼ごっことかして遊んでいました。池で水遊びしてずぶ濡れで夏期講習を受けたり(笑)。別のメンツとは今どきのJKに憧れてプリクラを撮ったりしましたが、一番落ち着くのはこの6人組なんですよね」。

大学ではテニスサークルに入った。

「友達と新歓の説明会を見に行ってノリで決めたんですが、運動神経が悪いので難しすぎます。大坂なおみさん? テレビはほとんど観ないのでよくわかりません……」。

看板娘
こんな感じのフォームです。

楽しかった思い出も聞いた。

「6人組の中の5人で台湾に行ったんです。みんな食べるのが大好きなので、共通の財布を作って飲食代はそこから出しました。一番美味しかったのはカニおこわです」。

カニおこわ
見事優勝したカニおこわ。

実家時代はほとんど料理をしなかったが、ひとり暮らしを始めてからはよく作るようになった。最近のヒット作は茄子の煮浸し。

ナスの煮びたし
おお、本格的ではないか。
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 写真を見ているうちに、またお腹が空いてきた。黒ホッピーセット(450円)、茄子の煮浸し(300円)、数の子わさび(320円)を追加注文。

シャリキン
ナカはキンミヤ焼酎の自家製シャリキンである。
食事とお酒
さて、仕切り直し。

恵梨華さんは20歳になったばかりで、お酒に関しては初心者だ。従って、以下のようなやり取りも見られる。

「景虎入りました〜」と言いながらお猪口を持って2階に上がろうとする。それを見た厨房スタッフが「景虎は冷やだからグラスね」。「はい、わかりました」。

看板娘
あ、お猪口は熱燗か。

恵梨華さんはスタッフからの指示にも客からのオーダーにも「はい、わかりました」と返す。安い。美味い。フレッシュな看板娘がいる。それにしてもいい店だ。

内観
「大声ダイヤモンド」はお控えください。

この日は今日が初出勤だというアルバイトがいた。恵梨華さんは健気に指導している。

看板娘
私も不慣れですが……。

馬刺酒場を満喫したところでお会計。最後に読者へのメッセージをお願いします。

メッセージ
馬がかわいい。

 

【取材協力】
大衆酒場 ツネキチ
住所:神奈川県川崎市中原区木月2-5-11
電話番号:044-434-3088

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石原たきび=取材・文

# 元住吉# 大衆酒場 ツネキチ# 居酒屋# 看板娘
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