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2019.08.07

たべる

ミシュランの“星”を拒否した「伝説のそうめん」を求めて富山へ!


暑い夏は、涼の“摂り方”次第でいくらでも快適になる。大人なら知っておきたい、夏場のクールダウングルメ。


連日、酷暑が続く日本列島。ややもするとエアコンが効いた部屋でそうめんでもすすりながら映画のDVDでも観てやり過ごそう……なんて考えてしまいそうだけど、せっかくの夏にそれはナシ。

例えば、今家で食べているそのそうめんの“最高峰”を味わいに出かけてみるなんてどうだろう?

 

激ウマそうめんの噂を聞きつけ、富山にやってきました!


噂によると、富山の山奥に激ウマそうめん店があるという。「そうめんは家で食べるもの」って思っている人も多いかもしれないけど、そこは山奥に店を構えながら行列の絶えない人気店だとか。

富山駅から車で約1時間、緑あふれる大岩山の麓に今回の目的地「ドライブイン金龍」はある。



地元の人に「大岩のお不動さん」として親しまれる、日石寺の参道前で営業すること30年超。昭和の香りが漂うノスタルジックな雰囲気にこちらの旅気分も盛り上がる。

三代目となるご夫婦が2人で営む「金龍」はこの日も満席。ただ、席数は多いので回転率も高く、席について注文してから5分程度で着丼。噂のそうめんとご対面!



見よ、この佇まい! 黄金色に輝く出汁は透明感があり、香り高い。ひたひたに注がれたスープに整然と並べられた、絹のような麺。真ん中にネギと生姜が添えられている以外は何もない、すべての無駄を削ぎ落とした、美しい一杯といった感じである。よほど素材に自信があるということだろう。

さぁ、目で楽しんだあとは、まずスープからひと口……。

う、うまい……!

かつお・昆布・しいたけの出汁が三位一体となり、口のなかに幸せが広がる。まろやかな味わいは濃過ぎず薄過ぎず、適度に冷えたスープは一気に飲み干したくなるほど。

麺はこだわりの伊勢の大ひね、3年もの。絶妙なシコシコ食感で、「のびず、ふやけず」が自慢。間違いなく美味である。たかがそうめん、されどそうめん。素材にこだわることでここまで美味しくなるとは……わざわざ足を伸ばす価値、大いにあり!

さて、面白い話がある。「そうめん金龍」の代表、坂井勝士さんによると、「金龍」はミシュランの“星”を拒否したことがあるのだそうだ。

「数年前に、どことなく変わった感じのお客さんがきて、帰りがけに名刺を差し出してきたんですよね。そうしたら、ミシュランの調査員だった。で、こう言ったんですよ。『そちらでウチの店を掲載店に選んでも、星は絶対につけないでください。これ以上、店が混んだら困るので』」。

坂井さん、カッコいいよ!



帰りがけには冷えたラムネをゲット。満足感いっぱいで店を後にしたその足で、せっかくだから日石寺も散策しますか。石段の入り口は「金龍」のすぐ脇。夏だというのに驚くほど涼やかで、避暑地の風情を存分に楽しめる。

6つの龍頭から流れ落ちる六本瀧(ろっぽんだき)は、訪れる者の六根(眼根、耳根、鼻根、舌根、身根、意根)を清浄にし、一切の衆生の六欲、根本煩悩を洗い落としてくれるとか。

胃袋を満たし、身も心もリフレッシュして、明日からまた夏を楽しもうじゃないか。

 

[店舗詳細]
ドライブイン金龍 大岩店
住所:富山県中新川郡上市町大岩11
電話:076-472-2311
営業:7月〜9月

ぎぎまき=文

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