「カラダのメンテナン酒」とは……前回は「ビール=プリン体=痛風」という
迷信のカラクリが明らかになった。
痛風を警戒する場合、プリン体とビールの因果関係は薄いことが理解できたが、「ビールで痛風にはならなくとも、太りはするのではないか」という不安は拭えない。そこで気になるのは、糖質やカロリーの存在である。
今回は、メタボリックシンドロームの人へ向けた保健指導などを行なっていた管理栄養士、横川仁美さんに話をうかがい、ビールと「糖質」、そしてビールと「カロリー」の真実に迫った。
話を聞いたのは……
ビールの「糖質」は本当に悪の権化か
「ビールは太るのか問題」を考えるうえで、もっとも恐ろしいのは糖質ではないだろうか?
健康を維持するうえで、糖質はなくてはならない重要な栄養素のひとつ。だが、ダイエット中などは悪の権化のような扱いをされるのが常である。
しかし、「血糖値は気になるけどビールが飲みたい!」「ビール腹でもビールが恋しい!」と叫ぶビール党は世界中に溢れている。そんな彼らに救いの手を差し伸べようと、「糖質オフ」を謳う商品も人気を集めているが……
「糖質が多いイメージのビールですが、実はそれほど多く含まれていません。350mlのビールで糖質量は10.9g。500mlでも15.6g程度ですね。お茶碗一杯分のご飯(150g)が55.2gですから、比較するとビールはだいぶ糖質が少ないことになる。この程度の糖質量であれば、日常生活で十分調整できます」。
茶碗一杯のご飯は350mlのビール5缶分、つまり1750ml分にもなるのだ。炭水化物の量を微調整すれば、少なくともビールの糖質を過剰に心配する必要はない、という説明にも説得力がある。逆に言えば、定食屋で「ライス大盛り!」が口癖のわんぱくタイプこそ、立ち止まってみたほうがいい。
なぜなら、ご飯を大盛り(240g)にした場合の糖質量は88.3g。つまり、ご飯を普通盛りから大盛りに変えるだけで、350mlのビール3本を茶碗によそっている計算になる。
いくらダイエットのために糖質オフのビールを選んでも、たったひと言「ご飯大盛りで!」と言うだけで水の泡。俺が味わいたいのはビールの泡ではないのか、と自問自答してみよう。
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