乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.270
2021.08.08
CAR

クラウン、シーマ、ディアマンテ。平成初期にバカ売れした3ナンバー・セダンが再び

バブル時代、税金が下ったこともあり、角ばった3ナンバー・セダンが続々と登場。バンバン売れた。

しかしバブルが崩壊すると車は丸みを帯びるようになり、コンパクトカーやミニバンが台頭。そんな、時代に翻弄された国産カクカクセダンの魅力が、今再び増している。

■トヨタ「クラウン」

トヨタ クラウン
クラウン

1987年に登場した8代目クラウン。セダンのほかにワゴンもあるが、税制改革を見越して4ドアハードトップのみ、全幅が3ナンバーサイズに拡幅されていた。

ひとつ前の7代目のCMキャッチコピーは「いつかはクラウン」と、憧れを促すものだったが、バブル景気で人々の気持ちは「いつかは……」から「今でしょ!」になったようで、この8代目はバカ売れ。

1990年の年間販売台数でカローラ、マークIIに次いで3番目に売れ、トヨタの牙城を築いた。

しかし1991年に丸みを帯びた9代目にモデルチェンジされると、一気に販売台数が落ち込むことに。堂々と押し出し感のあるデザインは、流線型全盛の今だからこそ格好いい。

 

■日産「シーマ」

日産 シーマ
シーマ

平成に入って登場した3ナンバー車の象徴が、「シーマ現象」と呼ばれたほど売れた初代のシーマ。

他社では上記のクラウンのようにベース車を少しイジる程度にとどめたり、5ナンバーサイズのまま排気量をアップして3ナンバー化するケースが多かったが、シーマは最初から全長約4.9mの堂々とした3ナンバーボディが与えられて1988年にデビューした。

デザインを優先してサイズを決めたかのような専用ボディによって気品のある欧州車風のテイストを表現できたシーマは、一気に人気車となった。

1991年に2代目が登場するものの、結局初代を超えるシーマはまだ出ていない。最近では女優の伊藤かずえさんが新車で購入した30年来の愛車を、日産がフルレストアしていることも話題になっている。

 

■ホンダ「インスパイア/ビガー」

ホンダ インスパイア
インスパイア

1989年にアコードとレジェンドの間を埋めるべくホンダが投入したのが、アコードの上級モデルであるインスパイアと、その姉妹車のビガーだ。

厚みを抑えた精悍なフロントマスクに、本革や天然木があしらわれたインテリアが人気となり、当時このクラスの絶対王者だったトヨタマークII・クレスタ・チェイサーという3兄弟に迫る勢いだった。

ホンダ ビガー
ビガー

デビュー時は5ナンバー車だったが、1992年に全長+140mm・全幅+80mmとサイズを拡大した3ナンバー専用ボディが与えられたモデルが追加された。

その後伸びやかなフロントノーズやワイドなスタイルを得た後継モデルはさらに魅力が増し、インスパイアは5代に渡り販売されたが、初代以上に売れることはなく、2012年にその名が途絶えている。

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■マツダ「ルーチェ」

マツダ ルーチェ
ルーチェ

マツダのフラッグシップとして1986年に登場した5代目ルーチェ。

フロントグリルやCピラー(リアウインドウを支える柱)の形状など、随所に当時のメルセデス・ベンツの190EやEクラスを想起させる部分があったことから「広島ベンツ」と言う人もいた。

ロータリーや3LのV6などエンジンのバリエーションは豊富だったが、デビュー時点はまだ昭和時代だったこともあり、5ナンバーサイズのセダンとハードトップの2種類のみ。

直線基調で凹凸の少ないボディは、現在の流麗なフォルムの高級車とは違う気品を感じる。

1991年、3ナンバーボディで曲線を活かしたデザインのセンティアに道を譲る形で「広島ベンツ」の販売は終了した。

 

■スバル「レガシィ」

スバル レガシィ
レガシィ

それまでのレオーネに変わり、1989年に登場した初代レガシィ。5ナンバーサイズのボディに、スバル独自の水平対向エンジンとフルタイム4WDシステムを搭載した。

あっという間に人気を得たが、その人気は当時のレジャー需要を受けて、ステーションワゴンのほうに集まった。

しかしデビュー前に10万km耐久走行における平均速度223.345kmという当時の世界記録を樹立したのはセダンであり、WRC(世界ラリー選手権)で三菱やトヨタ、フォード、ランチアなどの競合を抑えて優勝したのもセダンだ。

フロントからリアにかけてV字を描くようなフォルムやリアのウイングは、セダンながらしっかりとラリーを闘うスポーツカーの矜恃を感じる。

WRCの道はその後インプレッサへと引き継がれ、以降のWRC全盛時代を築くことになる。そんなワゴンの影に隠れた薄幸の名セダンだ。

 

■三菱「ディアマンテ」

三菱 ディアマンテ
ディアマンテ

トヨタでいえばクラウンは社長が乗り、マークIIが部長、コロナが課長、なんてカテゴリーがはっきりあった昭和と平成の端境期。

マークIIは5ナンバーサイズを守っていたのだが、そのマークIIのライバルとして登場したディアマンテは、そんなの関係ねぇとばかりに3ナンバーサイズで1990年に現れた。

しかもMICS(三菱インテリジェントコックピットシステム)やMMCS(三菱マルチコミュニケーションシステム)など当時の“ハイテク”(もはや死語?)満載だったことや、当時のBMWに似たスタイルが受け、大ヒット。

しかし2代目で失速し、2005年に販売を終了した。ちなみにディアマンテの英字表記は「DAIAMANTE」で、スペイン語でダイヤモンド(三菱の商標はスリーダイヤモンド)を意味する。

 

籠島康弘=文

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