乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.255
2021.07.06
CAR

グッチの500、世界最小のフェラーリ。奇跡のコラボで誕生した稀少コンパクトカー4台

コンパクトカーは移動の“道具”として選ぶことが多いため、見た途端に「一生コイツを手放さない!」と思えるような特別な出合いはない……と思ってない?

いやいや、ありますよ。コラボによって生まれたこんなスペシャルな4台とか!

①いちばん小さいフェラーリ!?
アバルト695トリブート・フェラーリ

アバルト695トリブートフェラーリ
アバルト695トリブート・フェラーリ。用意されたボディ色はレッド、イエロー、グレー、ブルーの4色。同時期のフェラーリ430スクーデリアと同じデザインのストライプが配された。

小さくて可愛いフィアット500(チンクエチェント)。それだけで十分パートナーの筆頭候補なんだけど、かつて500のチューンナップ版のアバルト500の性能を高め、しかも「フェラーリ」の名を冠するアバルト695トリブート・フェラーリがあった。

フェラーリとアバルトのダブルネームモデルだ。

2011年に世界限定1696台で販売され、日本には150台が輸入された。1.4Lターボは最高出力がベースとなったアバルト500の135psから180psに高められ、アバルトとフェラーリの名が刻まれた専用エンブレムやキーホルダー、ナポリの老舗トラモンターノが製作した専用トラベルバッグが2個付いてきた。

スポーティなイメージのカーボンパーツがたっぷり使われたインテリア。ステアリングの挿し色はボディに合わせられる。

その後日本のみ「695 トリブート・フェラーリ”トリブート・アル・ジャポネ”」なる、フェラーリ限定色のビアンコ・フジを纏ったモデルも50台追加された。

つまり日本で販売されたフェラーリとのダブルネームモデルは計200台。ちなみにイタリアではフェラーリがメンテナンス等で顧客の車を預かった際に、このモデルを代車として提供したとか。

アルミホイールもフェラーリ430スクーデリアと同じデザイン。

もう10年前のモデルだけれど、今でも中古車市場で約300万円から見つけることができる。

今後アバルトとフェラーリの両ブランドを背負うモデルなんて二度と出てこないだろうから、コンパクトカーでも走りにこだわりたい人には、究極の1台かもしれない。

 

②アストンOn theトヨタ
アストンマーティン シグネット

アストンマーティン シグネット
アストンマーティン シグネット。アストンマーティンらしいフロントマスク。ボンネットにはエアインテークまで備えられた。

トヨタがかつて販売していた、軽自動車よりも小さい全長約3mのiQ。

これをベースにして、V8やV12という大きなエンジンを搭載するモデルしかなかったアストンマーティンが、「顧客の普段の足に」と開発したのがシグネットだ。

1.3LのエンジンやCVTはトヨタ製のままだが、同時期のアストンマーティン同様のデザインにリファインされ、インテリアの素材もアストンマーティンと同様のものが用いられ、消音材の追加で静粛性も高められている。

メーターは当時のアストンマーティン車と同じイェーガー製のメーターに変えられている。

しかも、こうした徹底した“アストンマーティン化”を施すため、トヨタはわざわざ日本からiQを本国イギリスの自社工場へ搬送し、ボディ外板やインテリアなどを一度バラして、職人が一台一台手作業で仕上げていた。

日本では2011年から販売され、価格はiQの約3倍の475万円。

しかし、わずか2年ちょっとで生産は終了。今ではプレミア価格がつく激レア車になったトヨタ製アストンマーティン。

本革シートが標準装備。さらに本革の色を変えると約60万円プラス、背もたれと座面をアルカンターラにすると約12万円プラス……といろいろなオプションが用意された。

ちなみにメーカーオプションだけでは足らなかった顧客が個人オーダーした、世界で1台だけの4.7L V8エンジンを搭載したスペシャルモデルもあるとのこと。

この車体にV8エンジン……知らずにアクセルを踏むと、とんでもないことになりそうだ。

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③乗るグッチ
フィアット500 by グッチ

フィアット500 by グッチ
フィアット500 by グッチ。ボディカラーはブラックとホワイトの2色のみ。ハッチバックの500は日本では300台が販売された。

小さくて可愛いフィアット500(チンクエチェント)はファッション業界からも熱い視線を集めていた。2009年にディーゼルとのコラボモデルが登場したかと思いきや、2011年にはグッチ仕様車も発表された。

それがフィアット500 by グッチだ。

これはイタリア統一150周年とグッチ創設90周年を記念して両ブランドが手を組んだスペシャルモデルで、2012年までの2年間限定で販売された。

グッチと名乗る以上はちゃんとデザインされた500を作りたいとばかりに、開発は当時のグッチのクリエイティブ・ディレクターだったフリーダ・ジャンニーニが自ら指揮を執ったという。

シートのヘッドレストには型押しの「GGロゴ」が入り、シートベルトもグッチのストライプとなる。

グッチのロゴがボディにあしらわれたり、グリーンとレッドのストライプが入るのはもちろん、レトロ調デザインのホイールにも「GGロゴ」が入れられた。

オープンカーである500Cはボディではなく幌にグッチのストライプが入る。こちらは日本で100台販売された。

現在でも中古車で500なら100万円以下から、オープンカーの500Cは200万円以下から見つけることができる。

着るでも持つでもなく“乗るグッチ”。ただ華美なだけではなく、高い品質から来る重みや存在感を讃えた1台は、グッチファンと500ファン両方の気持ちをしっかりとわかった異業種コラボの良作だ。

 

④実はロールス・ロイス?
ミニ インスパイアード バイ グッドウッド

ミニ インスパイアード バイ グッドウッド
ミニ インスパイアード バイ グッドウッド。旧型ミニのクーパーSがベース。ドアの付け根に小さく「MINI INSPIRED BY GOODWOOD」のアルミニウム製バッジが備えられている。

イギリスのコンパクトカーの代表格といえばミニだが、それを同じくイギリスの超高級ブランドであるロールス・ロイスが手を加えるとどうなるのか?

出た答えが2012年に世界限定1000台で発売されたミニ インスパイアード バイ グッドウッドだ。

グッドウッドとはロールス・ロイスの本社があるイギリスの地名。「バイ ロールス・ロイス」とこれみよがしじゃない点は、さすがイギリス紳士。

スピードメーターはロールス・ロイスと同じ書体に変えられ、天井はロールス・ロイス同様最高級のカシミヤがブレンドされた素材が採用されている。

外観はフツーのミニだが、実はこのボディカラー、本来はロールス・ロイス車にのみ使用が許されているダイヤモンドブラックメタリックという特別色。

そしてドアを開ければロールス・ロイスの世界が炸裂する。

何しろインテリアを担当したのはロールス・ロイスのインテリアデザイナー。ロールス・ロイスに使われるレザーやカシミヤといった贅沢な素材が、大胆にミニに落とし込まれているのだ。

車の中とは思えないような、毛足の長いフワフワのラグが備わる。

同じイギリスブランドの奇跡のコラボレーションは、同じBMWグループだからこそ実現できた。日本に何台入ったのかは不明だが、 記事作成現在でネット検索すると1台が、約230万円で販売されている。

 

籠島康弘=文

# アストンマーティン# アバルト# コンパクトカー# フィアット# ミニ
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