乗りたかったのは、キブンが乗るクルマ Vol.243
2021.05.24
CAR

「車にはあまり興味がなかった」という20代の人生を変えた日産・テラノ

俺のクルマと、アイツのクルマ
男にとって車は名刺代わり。だから、いい車に乗っている人に男は憧れる。じゃあ“いい車”のいいって何だ? その実態を探るため「俺よりセンスいいよ、アイツ」という車好きを数珠つなぎに紹介してもらう企画。


■20人目■
猿渡大輔さん(28歳)

28歳。独身。スタイルのあるカーライフを提案するオートバックスのオリジナルブランド「ゴードンミラー」 のディレクター兼PR担当。ゴードンミラーの印刷物やWEBデザインなど、ブランドイメージ全般をディレクションしている。

趣味は「カメラやサーフィンや神社巡りなど」というアクティブ派。しかし「いちばん好きなのは車を運転している時間です」と話す。


■日産 テラノ■

1980年代に、アメリカ西海岸でピックアップトラックのカスタマイズが流行。それを見て、日産はダットサントラックをベースとした初代テラノを開発した。

デザインしたのはカリフォルニアにあるNDI(日産デザインインターナショナル)。当時は2.7Lのディーゼル車がメインだったが、猿渡さんのテラノは3Lガソリン車。


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■車のある生活を始めたら、色んなことが回り始めた

「車を買わない世代」と言われる20代。猿渡さんもご多分に漏れず、元々は車にあまり興味がなかった。

しかし、前職の先輩に言われた「人生が変わるから、車買ってみろよ」という言葉を受けて、中古のパジェロミニを購入してみた。

すると本当に人生が動き出す。今、ちょうどそのうねりのただ中にいる猿渡さんだ。

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前職はアパレル企業でグラフィックデザイナーとして働いていた。オートバックスのゴードンミラー部門に転職後は、それに加えてブランドディレクションも担当している。

「前の会社に勤めていたとき、会社の先輩に『どんな安い車でもいいから、とりあえず持てって。お金がなくても、車を持ったら、そういう生活水準になっていくものだから』と。

社会人になったばかりの僕は、そんなもんなのかなあと半信半疑でしたが、尊敬していた先輩だったので、とりあえずボロボロのパジェロミニを買ってみたんです」。

ところが「言われたことは本当でした」と振り返る。

「車があることで広がる、新しい世界がありましたね」。趣味のサーフィンは車で出掛けるようになったし、ソロキャンプも楽しむようになるなど、行動範囲も趣味の範囲も広がった。

「何よりいちばん大きかったことは、やはり今の職に就いたことですね。車に乗っていなかったら、アパレルから車関係のオートバックスに転職しようというとはならなかったと思います」。

ちょうど「何か新しいことをしたいな」と転職を意識するようになっていた。これと前後して、パジェロミニからの乗り替えも考えるようになった。行動範囲が広がれば、やりたいことが増える。「もうちょっと荷物が積める車が欲しくなったんです」。

ソロキャンプは月に1回程度。テントは張らず車中泊が多い。

狙いは、味のある1980年代〜’90年代のSUV。けれどなかなかどれにしようか、決めあぐねていた。

「この時代のSUVって、三菱のパジェロやトヨタのランドクルーザーが人気で、主役感があるじゃないですか(笑)。でもこういう“主役”車種はちょっと僕には似合わないなぁと思っていたんです」。

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■カリフォルニア生まれのテラノを見つけた

車体は購入時にサンドベージュにオールペン。

すると、友達に「テラノなら、ちょっと脇役っぽいし(笑)、似合うんじゃない?」と勧められた。そういえばアメリカ人でニューヨークに暮らしている友人が“人生で一度はテラノに乗ってみたい”と言っていたのを思い出した。

「それで気になっていろいろ調べてみたんです」。するとアメリカ映画では、かなりの頻度でテラノがスクリーンに映り込んでいた。主役ではないものの、優秀な“バイプレイヤー”といった所だ。さらに調べると、カリフォルニアでデザインされた車だとわかった。

「前職のアパレル企業は、アメリカが大好きなブランドでしたし(笑)、自分自身もアメリカは好きでした。よくカリフォルニアへ遊びに行ったりもしていたし。だからカリフォルニアでデザインされたテラノは、しっくりと自分に合うなと思えたんですよ」。

「旧車あるあるですが、エアコンの効きは悪いくて、パワーウインドウは壊れそうです(笑)」。

発売当時の基準のディーゼル車は今では都内で乗れないのだが、生産終了からだいぶ経っていることもあり、ガソリン車の流通量はグンと少ない。

なかなかお目当てのガソリン車がなかなか見つからなかったが、ようやく群馬県の4WD専門店で発見した。

元のボディ色がわからないほどシャビーで枯れていたが、お店が購入後にオールペンもしてくれるという。さらに購入車に付いていた背面タイヤやラック、オーバーフェンダーを取り外した。「昔のRV的要素をそぎ落としました」。

シンプルになってさらに愛着が増したテラノの納車と前後して、現在の職に就いた。

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■つい遠出がしたくなる車

購入時の走行距離は8万kmぐらい。それからの約3年間は、年1万kmは走っているという。

「少し前には出雲大社まで走り、その周辺の神社を巡ったあとに尾道へ下り、大阪から京都も周って帰ってきたから、それだけで2000kmくらいですかね」。

その前は伊勢神宮とその周辺まで出掛けたという。「車に乗って神社を巡るのが趣味のひとつになって。もちろん御朱印帳も持ってます」。

出雲大社は、行く前日までまったく行き先を決めていなかったという。「たまたま仕事のスケジュールに隙間ができることに気づいて。これなら出雲大社に行けちゃうなと思って」即行動したという。

ドライブ中はSpotifyで好きな音楽を聴きながら、気分が乗ってきたら大声で歌う派。

それも「テラノだから」と、猿渡さんは言う。「いくら乗っていても全然疲れないんですよね。車の調子もいいし。だから遠出がしたくなるんです」。

サーフィンへもよく出掛けるが、今は波乗りと同じぐらい、波乗りをしている友人を撮影するのが楽しいそうだ。車があれば、サーフィン道具とカメラとカメラの防水キットなどの撮影道具を持ち歩くのもわけはない。

車のある生活をすることを前提に、最寄り駅から徒歩30分の部屋に引っ越した。

「車を変えば人生が変わる」という先輩の言葉は、当たった。確かに、仕事もプライベートも車は猿渡さんの人生を変えたのだ。

今、燃費の悪い旧車は、少しずつ居心地が悪くなっている。しかし「壊れない限り、ずっと乗り続けたい」と猿渡さん。

「なんでこんなにテラノが馴染んでいるか、自分でもよくわからないけど、エンジンを回してハンドルを握っている時間が、本当に幸せなんです(笑)」と笑う。

もともと車に興味のなかった20代の彼にとって、今、テラノは確実に人生の一部になっているのだ。

鳥居健次郎=写真 籠島康弘=取材・文

# ゴードンミラー# テラノ# 日産#
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