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2020.08.01

日本にSUVを広めたトヨタ「ハリアー」初代は、“新しい高級車の形”だった

「人気SUVの初代の魅惑」とは……

トヨタ:初代「ハリアー」

SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)という言葉が日本にはまだなく、RV(レクリエーショナル ヴィークル)としてミニバンとひと括りにされたり、クロカン(クロスカントリー)4WDと呼ばれていた1990年代。
日本人にSUVという言葉を広めることになったのが、トヨタの初代「ハリアー」だ。
初代ハリアー
“高級サルーン”の一種ですよとアピールする流麗なデザインは、当時の四角い武骨なクロカン4WDとは似て非なるもの。写真は初代「ハリアー」の北米版として発売されたレクサス「RX」。
実はアメリカでは、1980年代にはもうSUVという言葉が存在したと言われている。
ちょうどジープの2代目「チェロキー」やフォード「ブロンコII」などが人気を博していた頃だ。けれど日本やヨーロッパではあまりSUVという言葉を聞かなかった。その理由のひとつに、当時のアメリカンSUVは、トラックの強固なラダーフレーム(梯子状のフレーム)の上に、ステーションワゴンのようなボディを載せたものだったことがあると思う。
トラックの荷台の代わりにボディを載せたような車でしょと。
デビュー時に搭載されたエンジンは3Lと2Lのガソリンエンジン。4速ATが組み合わされたが、MT車のようにギアを選べるマニュアルシフト機能が備わっていた。
SUVのS=スポーツとは、モータースポーツの意味ではなく、スキーやスノーボード、サーフィンといったアウトドアスポーツのこと。トラックでこれらのスポーツに出かけるというのは、トラックで農地でもオフィスでもスーパーでも行くアメリカ人と違い、乗り慣れていない日本人やヨーロッパ人には今ひとつしっくりこなかったのだろう。


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