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「車と波と人生の“いい乗り方”」を教えてくれたAMC・イーグルワゴン

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俺のクルマと、アイツのクルマ
男にとって車は名刺代わり。だから、いい車に乗っている人に男は憧れる。じゃあ“いい車”のいいって何だ? その実態を探るため「俺よりセンスいいよ、アイツ」という車好きを数珠つなぎに紹介してもらう企画。


■3人目■
キャプテンズヘルム ストアマネージャー兼プレス 日高奨平さん(32歳)

1987年生まれ。妻と2匹の愛犬とともに由比ガ浜で暮らす。10代からサーフィンに傾倒し、友人の勧めでキャンプを経験してからは山にも目覚めたとか。「海に入るのと木々に囲まれるのは、根本の部分で同じ感覚なんですよ」。 www.captainshelm.jp




■日高さんの愛車■
AMC・イーグルワゴン(’82年式)

AMCとは1954年から1987年まで存在したアメリカの自動車メーカー。イーグルは当時AMCが買収したジープの本格的な4WDの足回りに、乗用車のボディを積んだモデルだ。当時は小さめなサイズが仇となりアメリカでの販売数が伸びず、そのぶん今でも熱烈なファンを持つ。




サーフィンに導かれて、アメ車や旧車の世界へ

イーグルワゴンに乗る理由を語るにあたって、「サーフィンに出合ったことが、すべての始まり」と言う日高さん。大学生の頃にバイト先の先輩に誘われて、初めてサーフィンに触れ、「最初は自分でもビックリするくらい乗れなかったんですよね」と思い出す。以前に始めていたスケボーも難なく乗れたのに。「で、なんだこれ!面白い!ってなって」。

当時埼玉県で暮らしていた彼がサーフィンをするためには車が必須。しかしまだ当時18歳で、お金がない。「必死にバイトして中古のトヨタ・カローラフィールダーを買って、友達4人と頻繁に海へ通うようになりました」。

足繁く海に通い、波にも慣れ始めると、次第にアメリカのビーチやカリフォルニアカルチャーにも傾倒していった。初めての就職も西海岸発祥の大手アパレルメーカー。するとアメ車が欲しくなった。

「当時、周りのサーファーにはボルボ240のワゴンが人気で、みんなと違うのがいいなと思って。アメ車はあんまりいなかったですね」。そこでジープ・チェロキーを中古で買った。しかしわずか3カ月後、廃車に。「サーフィンの帰りに後ろから突っ込まれました(笑)」。

突然サーフィンに出かける足を奪われると「じゃあ、ランクル60(トヨタ・ランドクルーザー60)にしようと。もともと先輩が乗っていたランクルに憧れていて、“ランクルのカタチのアメ車”という理由でチェロキーも選んだので」。

前期型の’81年式、MT車、パワーステアリングもパワーウインドウもない。購入したロクマルはやっぱり何かと不便だったというが「そういう不便さが逆にいい、に行き着いてしまいました(笑)。そのまま旧車の世界へどんどん引き込まれていきましたね」。


AMCを知り、JAFの人とも顔見知りに

アメ車&旧車に魅了されて、カルフォルニアカルチャーにのめり込んで行った約2年前のある日。先輩が何台か持っていた愛車の1台を指さして「これ、乗らない?」と言ってきた。それがAMC・イーグルワゴンだった。

初めて見た車。聞いたこともない車名。だから他人とカブる心配もない。「シュッとしていて、ランクル60やチェロキーよりひと回り小さいサイズ感も、そのときの気分にピッタリ。すごくカッコいい!」とふたつ返事で譲ってもらった。

同時に「すごく壊れそうだなぁ、とも思いました。なにしろランクル60とほぼ同じ年式なのにパワステやパワーウインドウが付いていて、オートマ車。当時の高級車にしかなかった豪華な装備がそのまま載ってるなんて、壊れるに決まってると」。

予想通り、先輩から譲り受けてからの最初の1年間は「1カ月に1回はJAFを呼び、2カ月に1回は修理工場へ」だったという。「今じゃ家の近くのJAFの人とは顔見知りです(笑)」。

当時付き合っていた(先日結婚した)彼女は「僕と同じで、アメ車も旧車も好き。イーグルワゴンも一発で気に入ってくれました。彼女はオートマ車しか運転できないから『イーグルワゴンなら私も運転できる!』と喜んでいましたが……」。一緒に出かけた先で、壊れることはしょっちゅう。彼女に貸したら数時間後に電話が鳴って「道の途中でエンジンとまったんだけど!」と怒られたこともあった。

「旧車は乗り手が変わると故障しやすいって言われてますよね。アクセルの開け方だとか、セルの回し方だとかが変わると。車がなかなか自分を受け入れてくれないというか。ランクル60のときも最初の3カ月くらいは大変でしたよ。まあ、コイツは1年間、僕を拒否し続けましたけど(笑)」。ようやく2年目から、絶好調になった。


破れっぱなしのシート、壊れっぱなしのラジオがカリフォルニアスタイル

その一方で、サーフィンとの関わりは住む場所も仕事も変えていった。ランクル60の頃にはもう湘南エリアに移り住み、現在の由比ガ浜には約2年前に引っ越してきた。海辺を一緒に散歩してくれる2匹の愛犬も家族に加わった。「カルフォルニアにもプライベートで2回行きました。そこで今勤めるキャプテンズヘルムとも出合ったんです」。日本にキャプテンズヘルムのショップができてからは通うようになり、やがて声をかけられて、現職にも繋がる。

カリフォルニアのキャプテンズヘルムがあるオーシャンサイド地区は、「サビだらけの古い車のルーフに重いロングボードを無造作に載せて、荷物をバンバン積んで、海から上がったらウェットのままシートに座るというのが当たり前」だという。「ボードも道具も几帳面に積む日本人とは真逆で、ラフでヌケてる感じというか。良い意味で雑に楽しんでる感じがすごくいいなぁと思ったんですよ」。

トヨタ・プリウスほどのサイズしかないイーグルワゴンでは、ロングボードは車内に入らず、屋根に積むしかない。日高さんの座る運転席の本革の座面は破れたままだし、ラジオは壊れたのでBluetoothスピーカーを載せてスマホで音楽を聴く。リアのハッチゲートもよく壊れて今はハッチが開けられない。

そんな愛車で由比ガ浜から東京へと毎日出勤しているのだ。

「イーグルワゴンはいわゆるヴィンテージカーの部類かもしれませんが、やっぱり車の使い方も、カリフォルニアで見たみたいに、雑というか、あくまで日常使いの道具として乗りたいんですよね」。

見せ物や飾りではないし、セカンドカーという考え方もない。毎日乗って、できる修理は自分でやる。「コイツに乗るためには多少の覚悟と、故障に対応するための予算も必要です(笑)。しかもちゃんと使って、よく理解してあげないと乗れない車。でも、『も〜、また故障かよ!』って言いながら、気を遣わずに毎日普通に乗るのが、やっぱり車とのいい関係だと思うんです」。

サーフィンに出合い、カルフォルニアカルチャーに導かれるように歩み続けて「行き着いた先がイーグルワゴン」。そう言い切れる愛車に巡り会えた。海沿いに住むようになり、自分の感覚や感性をそのまま職業にすることもできた。「だからサーフィンにもこの車にも感謝しかないですよ」。

故障したら文句を言ったり、言われたりしながらも、気負わず毎日乗り続ける。そんな最新の車にはない付き合い方ができるイーグルワゴンは、日高さんの思い描く理想のライフスタイルを、リアルに乗せて、走っているのだ。

鳥居健次郎=撮影 籠島康弘=取材・文

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