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2018.12.02

トヨタとワーゲンの新型を知れば覆る。セダンが古くさいなんて誰が言った!?

SUVが隆盛を極める現在において、セダンはオジサン、古参ファンが乗るクルマ。あるいは、エンジン、キャビン、トランクが独立した3ボックス型のデザインが古くさくてダサい。
なんて思っている人は少なくないだろう。しかしその考えは、トヨタの新型クラウンとフォルクスワーゲンのアルテオンを知れば、きっと覆るはずだ。

セダンは低重心のスタイリングで、空気抵抗が少なく走行安定性が高い。エンジンルームと車室、ラゲッジスペースを独立させた3ボックス型は剛性が高く、エンジンルームとラゲッジスペースが衝突時にクッションとなるので安全性も高い。
また、快適に過ごせる居住スペースと広い荷室容量が確保できるなどといったメリットも挙げられる。デザインを犠牲にせず、これらをバランス良く取り入れることができるのがセダンであり、それゆえクルマのスタンダードな形となった。そして、トレンドの美しいクーペフォルムを纏ったクラウンとアルテオンは、まさにその最新形なのだ。
メーカーにとってのセダンは、オジサンに向けたものでも単に豪華というものでもなく、クルマに必要とされるものを、その時々の最新の設計、デザイン力を活かして造られる集大成であり、ターゲットは常に“今”を暮らす、あらゆる人なはずなのだ。そう考えれば、イメージだけにとらわれず、セダンも買いの選択肢のひとつとして十分にアリなのではないだろうか。
 

威風堂々! 日本を代表する王道セダン
TOYOTA CROWN トヨタ クラウン


ボディサイズ 全長4910×全幅1800×全高1455mm
燃費 12.8〜24km/L(JC08モード)
総排気量 1998〜3456cc
乗車定員 5名
価格 460万6200円〜718万7400円
イメージを刷新! クラウン初のファストバックスタイル
スポーティさを強調した15代目クラウン。流行のファストバック的なスタイルを採用。一番のトピックは専用通信機DCM(Data Communication Module)が備わったことで、365日24時間オペレーターによる遠隔のナビ設定やホテルなどの施設検索が可能になった。新プラットフォームによる低重心パッケージで走行性能が格段にアップ。エンジンは2.0Lターボ、2.5/3.5L+ハイブリッドシステムが用意される。460万6200円〜。
 


クラス感を演出するインテリアデザイン
余計な装飾がほとんどなく、上質さがひと目で伝わってくるコックピット。シフトレバーブーツには丁寧にステッチが施されていたり、ドアトリムやインストゥルメントパネルなどの肌が触れる部分に表革が巻かれているなど、造り込みは実に精巧だ。新開発のダブルディスプレイはダッシュボード上が視認用、インパネ中央は操作用となっている。
 

絶妙な設計によって、より疲れにくい空間に
先代に比べホイールベースが70mm伸びたおかげか、後席にはよりゆとりが生まれた。さらには、座面形状を平均的な日本人の体型を研究して造っているうえに、フロントシート下部のスペースを広げたことで多少、脚が伸ばせるようになり、長時間乗っても疲れない設計になっているのだ。
 

何かと使えそうなラゲッジボックスがうれしい
ラゲッジスペースのサイズは、最大で口径サイズ9.5インチのゴルフバッグが4個収納可能。独立した荷室でありながら、小型SUV以上の収納力を確保する。底面の下に設けられている、ラゲッジボックスはグレードによって形状が異なる。写真は2.0Lターボガソリン仕様のもの。
 

国産セダンの礎を築いたクラウンの歴史

1949年までの日本は国産車の生産がアメリカの占領軍によって禁止されていた。そのうえ、当時の日銀の総裁が国産車は不要、格安なアメリカ車で十分などと唱え、日本で新しいクルマを造るなんて到底無理というようなムードが漂っていたそうだ。
それをはねのけたのが、’55年に誕生した初代クラウンである。未舗装の道路がまだ多かった日本の交通事情を考慮し、乗り心地が追求されたクラウンは一気に日本のクルマ界の王座へと上り詰めたのである。

1955 初代
最大の特徴は4ドアに観音トビラを採用した点。前輪のサスペンションに国産車初となる独立懸架のダブルウィッシュボーン式コイルスプリングが採用された。これは、乗り心地や走りを良くするためで、スポーツカーや高級車に使われているものだ。
1974 5代目
4代目まで続いていたやや丸みを帯びたボディデザインが刷新され、現代の我々がイメージするクラウンらしい、どっしりと構えたフォルムになるのが5代目以降。衝撃緩和を図るために、メッキバンパーのコーナー部にはゴムのガードが設けられていた。
1991 9代目
9代目の大きなトピックは、4ドアハードトップ(Bピラーを持たないクルマ。窓に境がなくなるためスタイリッシュな印象になる)の新シリーズ、マジェスタを追加したこと。そのデザインテーマは「格調と若々しさの融合」というものだった。
2012 14代目
「CROWN ReBORN」というコピーを掲げ登場した14代目。そのコピーどおり、あらゆる面が進化し生まれ変わったが、このモデルチェンジ最大の目的は、デザインを大胆に若返らせ、メイン購買層を50代から40代まで引き下げることだった。
 


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