環境保護だけで終わらない、コミュニティへの還元
左はブレオ社の共同創業者デイビッド・ストーバーさん、右はエランゲの代表取締役である関幸太郎さん。Shota Matsushima=写真 ©2026Patagonia,Inc.
ネットプラスの価値は、環境配慮にとどまらない。素材の裏側には、地域の漁業コミュニティと直接つながる仕組みが存在している。ブレオ社は漁師から不要になった漁網を買い取ることで、廃棄を防ぐと同時に新たな収入源を生み出してきた。
従来であれば処分費用がかかっていた漁網が、資源として価値を持つことで、漁業者にとっても経済的なメリットが生まれているのである。この仕組みはただのリサイクル事業ではなく、地域に新しい経済の流れを生み出す取り組みともいえる。
こうした施策の背景には、パタゴニアとブレオ社の長期的な関係がある。両社の協業がスタートしたのは、ネットプラスがバギーズに採用される以前の2014年。パタゴニア・チリがブレオ社の活動を知り、環境系スタートアップへの投資を行うパタゴニア本社傘下の「ティンシェッド・ベンチャーズ」を通じて出資を行ったのがきっかけだった。
以来、単なる素材供給にとどまらず、回収や再生の仕組みそのものをともに構築していく関係が築かれてきた。
パタゴニア日本支社ビジネス&インダストリー・エンゲージメント・マネージャー 篠 健司さん●再エネを含む物品・サービスの責任ある調達、リサイクル・プログラムの構築などを推進。その取り組みを他社や業界全体へと広げる活動にも注力している。
「ブレオ社の魅力は、廃漁網をリサイクルすることで石油への依存を減らすだけでなく、地域の漁業コミュニティを支援し、新しいインフラの構築に貢献している点です。今ではチリに加えて中米、北米にも回収エリアが拡大しています」。
そう振り返るのは、パタゴニア日本支社で長く環境部門を担当するビジネス&インダストリー・エンゲージメント・マネージャーの篠 健司さんだ。パタゴニアの素材選びの基準は環境負荷の低減だけでなく、製造過程や地域社会への配慮、そして人々の暮らしにまで目を向けることにある。ネットプラスは、そのすべてを満たす素材だった。
26年春夏シーズンにももちろん、ネットプラス採用製品がラインナップ。着々と拡張させている。3万7400円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 0800-8887-447)
9900円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 0800-8887-447)
そして、この仕組みはパタゴニア単独で完結するものではない。こうした環境インパクトの大きい取り組みを他社にも広げていく姿勢こそが、同社の真骨頂である。ネットプラスは現在、ナイキやロンハーマンなどのブランドにも採用されるようになり、その循環の輪は着実に広がっている。
さらにパタゴニアは、ペットボトル由来のリサイクルポリエステルにおいても同様に、単なる素材転換ではなく仕組みづくりを重視してきた。インフラが整っていない地域にこそ目を向け、循環の基盤そのものを現地とともに構築する。この姿勢は、ネットプラスの取り組みにも通底している。
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