“灯り”と“火”が避難生活の不自由を軽減する

野口さんが能登半島地震の避難所支援を行なった際、寝袋以外で喜ばれたというのが「ソーラーランタン」だ。
「夜の体育館は真っ暗になります。特に高齢者の方は方向感覚を失いやすく、トイレに行くのもひと苦労です。そこで、ソーラーランタンを滑走路のライトのように動線に沿って並べたところ、安全に歩けるようになりました。これは非常に喜ばれましたね」。
もちろん、個別に用意しておいて損はない。災害発生が夜間だった場合、その影響で自宅が停電した場合など、避難時の灯りの有無は、命を守るうえで非常に重要だ。
また“灯り”と合わせて、アウトドア用ストーブなどの“火”も必須。お湯を沸かしたり、簡単な調理をしたり、テントの中で暖をとったり、ひとつあると何かと便利なアイテムだ。
アウトドアウェアのウールインナーは暖かくて衛生的
寒さ対策の筆頭は寝袋だが、着るもので対策することも忘れずに。
「ダウンなど、上から着るものも大切ですが、僕はインナーウェアも重視します。特におすすめしたいのが、ウール素材のインナーです。1週間、着続けても臭わず、洗ってもすぐに乾くので避難生活にはもってこいです。そして何より温かい。実際に冬山登山でもウールのインナーで1ヵ月ほど過ごしています」。

こうしたアウトドアギアの知識は、「被災生活でも非常に役立つ」と野口さん。
「防災グッズは、しまっておくだけでは意味がありません。使い込んで自分のものすることが大事。一番いいのは、キャンプをすることです。テントを張ったり調理をしたり、不便な環境でどう快適に過ごすかを、家族で楽しみながらやってみること。そうした自然体験を積み重ねることが、そのまま災害対策となるのです」。
なるほど。「災害対策」と構えてしまうと面倒になるが、遊びの延長と捉えて楽しめば、実践的な知識も身に付きやすい。その際、いざ災害が起きた場合の段取りや集合場所を、家族で話し合っておくと良さそうだ。