渡辺さんが思う、粋な大人

渡辺さんへ最後の問いとして、粋な大人像を尋ねてみると、一人の先輩の名を挙げた。それは写真家の操上和美さん。90歳にしてなお、第一線に立ち続ける存在だ。
「『次は誰が撮るの?』と聞かれて操上さんの名前を聞くだけで、自然と自分を整えなきゃと思うんです。何か言われるわけじゃない。でも、見られている、試されている、そんな感覚があって。それが不思議と心地良いんです」。
特別な演出をしなくても、その人の本質を写し出す。そんな写真を鏡のようだと彼は表現する。

「歪めも盛りもせず、ただ映す。だからこそ、自分の曖昧さまで見えてしまう気がして、姿勢が正されるんですよね。フォトグラファーとしてだけじゃなく、一人の大人として、本当に格好良い先輩です」。
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「まあ、なんとかなるだろう」。そんなポジティブな思いで歩み続けたからこそ今がある。渡辺謙、66歳。こんな歳の重ね方をしたい。