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すべての写真を見る散財王を目指し、「おっ」と気になるモノと出会うと触手を動かし続ける編集者・安藤夏樹さん。
時計や古着、伝統工芸の木彫り熊など、どうにもモノを集めてしまう、その楽しさについて語ってもらった。
「“体系化できる”ことも重要なんです」
「散財王に、俺はなる!」。そう公言して久しい編集者の安藤夏樹さん。最近購入したものを聞くと、出てくる出てくる。
まずは「セイコー 5スポーツ」が、ロンドンを拠点とする高級カスタムウォッチブランド「バンフォード・ウオッチ・デパートメント」とコラボした限定時計。続いて、柳宗理によるヴィンテージのステンレス製ケトル。今お気に入りの北欧ブランド「ホダコヴァ」のコートも買ったばかり。
オフィスをぐるりと見れば、ジョージ・ネルソンの本棚には書物より木彫りの熊が多めに置かれ、建築家・藤森照信によるテーブルセットの卓上には数えきれないほどの時計が無造作に。かように名品珍品がそこかしこに置かれ飾られていた。

これまで古着、時計、美術品、家具、工芸など、あらゆるモノに手を出してきた。その過程で本来の“散財王”の意味を知り、それとは違う自身のスタンスも自覚することになる。
「僕は“エセ散財王”なんですよ。ほら、本来の意味での散財王は、たんすの肥やしになるようなモノを大量に購入したり、夜の店で連日豪遊したりするイメージでしょ。でも僕は単にお金をかけるだけでは面白くない。もちろん好きなモノであることが一番ですが、“体系化できる”ことも重要なんです」。
その姿勢には、メンターのひとりでもあるフランス文学者・鹿島茂さんの言葉が影響している。
「鹿島さんはフランスの古い本のコレクターでもあるんだけど、『有るモノから、無いモノをつくる。それがコレクターという存在だ』と言われたんです。
集めることにとらわれて終わるのではなく、むしろそこからが始まり。なるほど、と思いましたね。だから資産価値より文化価値を見いだせるモノに食指が動く。しかもそれまで誰も気に留めていなかったモノに。そういう傾向は強いです」。
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