操る楽しさを極限まで追求した、LBX MORIZO RRの6速MT。ショートストロークかつ節度あるシフトゲートは、手首ひと捻りでピタッと決まる。日常速度でもクルマとシンクロして、つながる感覚が心地いい。この6速MTの体験をLBXだけに閉じず、ぜひほかのモデルにも波及させ、レクサスの未来へとつないでほしい。
では、実用面では?
「コンパクトサイズゆえ、荷室はサイズ相応で大物は苦手。でも日常、プラス趣味の道具を積むには十分。後席は大人フル乗車だとややタイトですが。それでも、取り回しは抜群で、幅1840mmは多くの立体駐車場に収まる。だからこそ“上質な小ささ”をどこまで磨くかが勝負。装備面の小さな違和感を潰せば、説得力はさらに増すかなと」。
「ホットハッチ、GRヤリス譲りの直3ターボは出力304ps/トルク400Nmという数字以上に“伸びの余力”を感じます。街中からワインディングまでストレスがない。MT派のツボを押さえた大きなシフト表示や、視線移動が少ないメーターは好印象です」。
なるほど。走りはどうですか?
「CVT主体の通常モデルでは音やフィールが軽自動車的に感じられた瞬間があり、個人的にハマらなかった。ただしこのMORIZO RR+6MTは別世界。足、操作系、音、すべてが一本の線でつながる。304ps/400Nm、G16E-GTSの直3ターボは数字以上に“伸びの余力”を感じましたし。駆動が切れるMTの宿命はあっても、街中からワインディングまでストレスなし。SUVの背の高さを忘れさせるしなやかさでした」。
iMTはクラッチ / シフト操作を検知してエンジン回転を自動調整してくれるアシスト機能。「変速ショックを抑え、発進や坂道でもエンストしにくいから、MTが久々という人にもありがたい機能。このiMTの出来が良くブリッピングはとても自然。違和感ゼロで日常速度でも“つながる感覚”が味わえました」。
段差を超えてもガツンと来ないのに、ロールは適度に抑えられた印象でしたしね。
「まさに。ステアリングも素直で、姿勢制御の作りが丁寧です」。


忖度なしの安東さんにしては珍しく大絶賛かも!? 車両650万円、試乗車はオプション込みで683万3300円とのことですが。
「だからこそ、細かな装備はブラッシュアップしてほしいですね。このSUVというボディにMTを設定した気概がうれしいです。トヨタ取締役会長であるモリゾウさんの名を掲げる以上、乗って納得の具体が重要で、今回はまさにそれ。MTの継続と拡張に期待しています。少数派でも熱量は高いし、女性のMT好きも増えている。選択肢を残すこと自体がレクサスの懐の深さ。今だけで終わらせないでほしいです」。
レクサスがスポーツにどう向き合うか、という今後のテーマにもつながりそうです。
「ラグジュアリーに振るだけでなく、AMGやMのような“走りの顔”をどう描くか。LCやLSの熟成に加えて、こういうピリッと辛口の存在がブランドを若返らせるんだと乗って感じました」。

最後にMTの魅力についてひと言お願いします。
「自分の意思が駆動に直結する快楽。回転を合わせ、ギアを選び、前へ押し出す。速さだけじゃない“操作の物語”がある。日常速度で気持ちが晴れる。それを思い出させてくれる一台でした。
iMTの制御の自然さ、しなやかな足、凝縮されたデザイン。装備の惜しさはあるが、ハンドルを握ればそれでも欲しいと思わせてくれます。レクサスがMTを造り続け、他モデルへも広げるきっかけになってほしいなと。
嗚呼、今日は久々に、心が軽くなりました。レクサス、次の一手に期待しています」。
フリーアナウンサー安東弘樹●1967年、神奈川県生まれ。愛車遍歴およそ50台を誇る生粋のカーガイで、ドライブはただひたすらクルマを運転していたい派。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。現在はBMW X5 PHEV、プジョーの電気自動車 e-208などを所有する。
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OCEANS1月「街角パパラッチ」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!