カーボンニュートラルの業界リーダーを目指す

2024年にはファブリクスを製造する施設すべてで100%再生可能電力への移行を実現。社会が挑む二酸化炭素排出量削減に貢献する。©F.Nebinger Palais Princier
環境対策は素材以外にも見られる。供給業者が使う化学薬品の選定をはじめ、サプライチェーン全体でカーボンニュートラル対策が進んでいるのだ。
「私たちはカーボンニュートラルの業界リーダーを目指しており、経営層も推進に積極的です。事実、事業活動の炭素排出量を2030年までに16年比で60%削減する目標を掲げていましたが25年に達成。80%削減に上方修正しました。
電力も欧州オフィスは早々に再エネへ移行し、米国の東海岸にある工場のエネルギー消費も再エネでカバーしています」。
ほんのひと昔前まで、環境活動といえばサーファーがビーチクリーンを行うような市民活動的な趣が多かった。だが日本政府も50年までにカーボンニュートラルの達成を宣言したように、社会のルールは変わってきている。
本格的な環境時代へ邁進するなか、企業の責任にも変化が見られだした。
廃棄物管理システム構築を行うバイオニック社のリサイクル生地を表地に採用し、海や水路に流出するプラスチック廃棄物削減の取り組みを支援している。© Getty Images
「イタリアのアウトドアブランドに勤めていた10年ほど前の役割を振り返ると、経営層にサステナブルや環境活動の大切さを説くために多くの時間を要していました。
しかし今やその大切さは多くの企業の経営層に浸透し、活動しやすい状況にあります。おそらく今後、世間の企業に対する評価軸も変わっていくでしょう。
環境にプラスの活動を行う企業に、消費者の信頼はいっそう集まるようになるのだと思います」。
企業の成長に大切な事柄は、「いかにイノベーティブなソリューションを出していけるか」だという。そして「ゴアテックス」はこれからも新たな解答を提示し続け、業界とエンドユーザーの意識を向上させていける存在でありたいと、マリーさんは力強く語った。
©Monk Seal Alliance-Greg Lecoeur
OCEANS12月「本物だけが欲しいのだ!」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!