「The BLUEKEEPERS project」とは……▶︎
すべての写真を見る“BECAUSE THERE IS NO PLANET B(第2の地球はないのだから)”をスローガンに、スペインの首都マドリードで誕生したサステナブルファッションブランドのエコアルフ。
すべてのアイテムを再生素材や環境負荷の低い天然素材のみで製造し、「着ることが地球環境の保全につながる」アイテムをリリースしている。
エコアルフを着れば着るほど環境保護が促進される
エコアルフ財団と一緒に運営する「UPCYCLING THE OCEANS」は地中海の多くの漁師や漁業組合に協力を得ることでスタート。海洋ゴミからペットボトルを回収・分別し、それらを素材にエコアルフが独自開発した糸へ再生。新たな服を作りだしている。
「普段の暮らしで着る服として、選ばれる存在を目指す」。2009年にスペインのマドリードで生まれたファッションブランド、エコアルフの創設者ハビエル・ゴジェネーチェの言葉だ。
ファッションが世界で2番目に環境を汚染している産業といわれるなか、エコアルフは創設時からリサイクル素材を使ったプロダクトを主軸とし、アパレルやシューズ、バッグ、タンブラーなどのライフスタイルアイテムを展開してきた。
今年4月22日のアースデイのタイミングでも、ペットボトルや魚網といった海洋廃棄物をアップサイクルした新作シリーズを発表している。
興味深いのは、これら海洋ゴミ由来のアイテムが、15年から始まった海洋保全プロジェクト「UPCYCLING THE OCEANS」のもとに誕生したことである。
「地球への優しい思いを抱いて過ごす1日」である今年のアースデイにリリースされたコレクション。右側にあるビーチバッグから時計回りに、ビーチバッグ各2万5300円、奥2足のスニーカー各1万6500円、手前2足のスニーカー各1万9800円、クラッチバッグ各9900円、タンブラー各4950円、トートバッグ各1万9800円/すべてエコアルフ(三陽商会 0120-340-460)
この春にリリースされたシューズ3型とバッグ5型も、漁師と協業して回収・分別した海洋プラスチックを用いた独自開発の糸「OCEAN YARN(オーシャンヤーン)」を使って生まれたもの。
国内でも20年にアジア初の旗艦店としてオープンした渋谷店をはじめとする各店舗と、公式オンラインストアで販売されている。
襟首にブランドのスローガンを配しているポロシャツは、売り上げの10%が「UPCYCLING THE OCEANS」を運営するエコアルフ財団に寄付される。1万2100円/エコアルフ(三陽商会 0120-340-460)
こうした生産背景を実現させた根底にはハビエルさんの情熱がある。それが「着ることが、地球を守ること」というブランドづくり。だから現在多くの人が着ているウェアを、もっとエコアルフのものに変えていきたい。そうすれば環境はもっと改善されていくはずだと考えているのだ。
とはいえ掲げるビジョンの実現は簡単ではない。なぜなら手掛けるのが「デイリーウェア」だからだ。
アウトドアブランドのように山や海やキャンプなど何かに特化した世界観を持つのではなく、よりスタンダードでノーマルな立ち位置で多くの評価を得たいとするため、独自性の形成や支持者獲得はいっそう難しいものとなる。
ひいては「多くの人にとってのデイリーウェアとなる」というミッションも高いハードルとなるのだ。
三陽商会 事業本部 エコアルフ課長 下川雅敏さん●奈良県生まれ。新卒で三陽商会に入社。13年目でエコアルフに関わる。以降、休日になるとEV車を駆って自然を目指すなどライフスタイルが心地良い方向に変化。海が好きで、千葉・房総方面などに泳ぎにいくことも多々。
「そのとおりです。ですから私たちはコミュニケーションにおけるメッセージの伝え方を重視しています」。そういうのはエコアルフを日本で取り扱う三陽商会の下川雅敏さん。
なかでも「なぜ、この服を選んでもらいたいのか」について伝えることを非常に大事にしているという。
「一例として、ファストファッションによる1000円のTシャツとエコアルフの5000円のTシャツとでは、作り方に違いがあるから価格に差が出るのだということを、きちんと伝えていくべきだと思っています。
1枚のTシャツを作るために必要な水はおよそ2700Lだといわれていますが、近年は環境意識の高まりが見られますし、また世界には水を満足に飲めない人もいる。
そこで私たちは、できるだけ水を使わずに済むTシャツを作りたいと考え、その実現のためにプラスされる生産コストを価格に反映している。といったストーリーを、しっかり伝えることを重視しているのです」。
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