ノーブルで正統な雰囲気が強いグレースーツに、ニットやソックスでカラフルな色を挿し、モダンな印象と遊び心を演出。この手法はスパイク・ジョーンズなど、アメリカ映画にまつわる人や衣装がヒントになっているという。またあえてのサンダルが、デイリー服としての印象を強めた。手元のシルバーリングは、その日の気分でチョイス。
着用するのは10年ほど前にイタリアで誂えたカルーゾのスーツ。始まりはテーラーゆえにクラシコの神髄を知りつつも、その作りは実にモダンで端正。
そんな王道の一着に、アメリカ的ラフな要素を意識して着こなすのが流儀だ。
アメリカっぽい色をスーツ姿に挿す。
ラフなサンダルで軽やかにハズす。
「若い頃はよく映画を参考に、それこそサイズ感から肩の抜き方、合わせのコツまで、細かく研究しました。ベーシックなスーツにカラフルなものを合わせ、足元も正統な革靴ではなくカジュアルな視点で。
昔できなかった“遊び”を、今自由に表現できるって贅沢じゃないですか。こうして培ってきた自分らしさを、年を重ねながら大切にしていきたい」。
エストネーション ディレクター 鷲頭直樹●1973年生まれ。大手セレクトショップで長年バイヤーとして活躍したのち、2019年よりエストネーションのメンズディレクターに。オーダーであるこの一着が彼の一張羅。納得のいく仕上がりだそう。
OCEANS12月「本物だけが欲しいのだ!」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!