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「止まったら、流れが淀む気がする」 森山流“ウェルビーイングのかたち”とは

——森山さんが、ウェルビーイングを実践するために大切にしている習慣や考え方があれば教えてください。
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それが“ウェルビーイング”と呼べるのかは、正直わからないんですが……。

僕はもともと、じっとしていられない性格なんです。そういう性格が、自然と踊ることに繋がっていったのかもしれませんし、いろんな場所を移動する自分のスタイルにも繋がっている。旅という感覚とも少し違うんですけど、とにかく、動いている時間が自分にとってはとても大切なんです。
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移動が多いからこそ、ふと「じゃあ、自分にとっての“基盤”って何なんだろう?」と考えることもあります。

——まるで“移動そのものが、自分の調律”のようですね。



よく周りから「マグロみたいだね」って言われるんですよ(笑)。泳ぎ続けないと死んでしまうという意味で。

冗談半分で言われるんですけど、自分としても、動き続けることをやめたら、内側の流れが淀んでしまうような、そんな感覚はあります。

——その“動く”という姿勢が、自分自身のアップデートにつながっていく感じですか?



別に「アップデートしよう」と思って移動してるわけじゃないんですけど、結果としてそうなっていることは多いと思います。

もちろん、ひとつの場所に留まって深める生き方もあると思いますし、そういう人たちへのリスペクトもあります。でも僕の場合は、あまりひとところに居続けることがなくて。

だからこそ、移動のなかで出会いや創作が生まれる。それを、どこかで“想定している”部分もあるのかもしれません。

「流れに委ねること」が、自分を導いてくれる

——森山さんも40代になりましたが、年齢を重ねるなかで、考え方に変化はありましたか? 



うーん……正直に言うと、40代になったからといって、急に何かが変わる感じでもないんです。

できることと、できないことがある中で、自然と続いてきたというか。流れの中に身を置いていたら、気づいたらここにいた。そんな感じです。

キャリアについても、「ここで一区切り」って明確に決めるような感覚はないですね。

芝居もダンスも、終わるようで終わらないものというか……。10代、20代の頃から続けてきたことを振り返っても、何かを計画的に積み重ねたというより、流れのなかでそうなってきた。そんなイメージです。

——「このポジションにいる」とか「次はこれをやろう」と、立ち止まって考えるようなことは?



もちろん考えることはありますけど、それよりも、そのときどきに出会った人や出来事とのつながりの中から、自然と何かが立ち上がってくるという感覚で生きています。


——計画的に進むのではなく、流れに乗って進んでいく?

そう、それが僕にはしっくりくるんです。

もちろん、計画的に物事を進める人もいて、その強さや美しさも理解できます。でも僕はどうしてもそっちにはなれなくて。どちらかというと、流れに身を任せながら、その中で何かを感じ取っていく方が、自分の表現には合っている気がします。


常に動き続けること。

そのなかで人と出会い、土地に触れ、言葉にならない感覚が立ち上がる。彼のキャリアもアートもファッションも、すべては計画ではなく、流れの中で形づくられてきた。

森山未來という表現者の現在地には、しなやかさと芯の強さ、そして今を生きる自由が宿っている。

佐藤ゆたか=写真 池田鉄平=取材・文 スタイリスト=杉山まゆみ ヘアメイク=須賀元子

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