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現代のギャングの状況と社会的課題

21世紀の現在、黒人ギャングはかつてほど一枚岩の巨大組織ではなくなったものの、形を変えて存在し続けている。ロサンゼルスやシカゴではクリップスやブラッズに代表される派閥がより細分化し、ニューヨークでも1990年代以降大規模抗争は減少したが、小規模なストリートギャングは各地に根付いている。
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ギャング間の抗争は局地的・散発的になった一方、いまだに都市部の殺人事件や麻薬取引の一因となっており、治安・社会の課題であり続けている。1980年代から現在に至るまで、アメリカの多くの黒人地区ではギャング同士の抗争で黒人が黒人を殺し合う悲劇が後を絶たない状況であり、社会問題となっている。

その結果、人口の1割強に過ぎない黒人が全米受刑者の約半数を占める事態にもなった。こうした高い収監率の背景にはギャングによる凶悪犯罪の多発もあるが、それだけでは説明できない問題だ。

人種によるプロファイリング捜査や量刑の不平等など、構造的な人種差別が黒人の大量逮捕・長期収監に拍車をかけてきた側面も指摘されている。ギャング問題は単に治安の問題ではなく、貧困や差別、教育機会の欠如といった複合的な社会問題と結びついているのだ。
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現代のヒップホップは世界的な音楽産業となり、多くの黒人アーティストが成功を収めている。しかしその裏で、ギャングの若者が命を落としたり刑務所に送られたりする現実も依然残されている。ギャング文化発祥の地・アメリカでは、暴力の連鎖を断ち切り、若者が犯罪以外の道で自己実現できるようにすることが大きな課題なのである。

ヒップホップがかつてそうであったように、創造性やコミュニティの力でギャングに頼らない社会を築く道が模索されている。一方で、ギャング文化が音楽やファッションを通じて主流社会に与えた影響も無視できない。

社会はそれを消し去るのではなく、そこで発せられた声に耳を傾け、根底にある問題を解決していく必要があるだろう。客観的に振り返れば、黒人ギャングの歴史と進化は、裏社会の物語であると同時にアメリカ社会の光と影を映し出す鏡でもあるのだ。

日本でも「ギャング」の真似をする際は、ぜひともその歴史や背景などを理解して頂きたい。それが、私個人としても願っていることである。

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ショットガンダンディ=文 佐藤ゆたか=写真 池田裕美=編集 
マンハッタンレコード=撮影協力

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