天然塩に含まれる“ミネラル”のはたらき

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――その違いによって、体にはどんな影響が?精製塩だけを摂取していると、ナトリウムは摂れても、体に必要な他のミネラルが不足してしまいます。
現代では、コンビニなどの加工食品や外食、お惣菜などに精製塩が多く使われているため、意識しないと精製塩中心の食生活になってしまいがちです。知らないうちにナトリウムだけが過多になり、体に負担をかけてしまっている、というケースは非常に多いと感じています。
ーー「塩分過多、ミネラル不足」ということですね。では、天然塩に含まれるミネラルには、どんな役割があるんでしょうか?それぞれとても重要な役割があります。
マグネシウム:「リラックスのミネラル」とも呼ばれます。筋肉の収縮をサポートし、不足すると、疲労感や筋肉のこわばり、イライラ、不眠などの症状が出ることも。
カリウム:体内の水分バランスを調整し、余分なナトリウムを排出する働きがあります。不足すると、むくみやすくなったり、疲れやすくなったりすることがあります。
カルシウム:骨や歯の健康はもちろん、神経伝達や筋肉の収縮など多くの機能に関わっています。不足すると、骨粗しょう症のリスクのほか、イライラしやすくなったり、精神的な不安定さにつながることも。
これらは単独ではなく、相互に作用し合いながら、体の機能を支えています。 天然塩は、これらのミネラルがバランスよく効率的に摂取できるというメリットがあるんです。
天日塩、平釜塩……奥が深い「天然塩」のあれこれ

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――なるほど。ぜひ天然塩を取り入れてみたいんですが、どんな種類があるのでしょうか?天然塩は、大きく「岩塩」と「海塩」に分けられます。
まず「岩塩」ですが、これは太古の昔に海水が干上がってできた塩の層を採掘したものです。塩化ナトリウムが中心ですが、鉄分やミネラルが含まれるものもあります。味わいはまろやかで、肉料理など素材の味を引き立てるのが得意です。
次に「海塩」は製法の違いで、主に以下の3種類に分けられます。
「天日塩」:海水を天日で乾燥させて作る塩で、太陽と風の力を利用した自然な製法。ゆっくりと結晶化するため、ミネラルが豊富で、複雑な旨味や甘みが特徴です。発酵食品との相性が良く、味噌や漬物作りに向いています。
「平釜塩」:海水を平釜で煮詰めて作る塩で、火加減や煮詰める時間など、職人の技術によって味わいが大きく左右されます。天日塩よりもミネラルが豊富で、さらさらとした使いやすいものが多く、素材の味を活かした和食全般によく合います。
「海水全乾燥塩」:全工程で人工的な熱を一切使用せず、海水を蒸発させる製法です。3つの中で最もミネラルが多く残っており、海水の栄養成分をそのまま摂取できます。価格は高めですが、栄養価の観点では優れています。
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