“嘘のない言葉”を届けるために、私服で取材に

――いつも取材には私服で臨まれているんですよね? 基本的には、できる限り私服で取材に臨んでいます。もちろん、スタイリストさんにお願いすることもあります。特にスーツが必要な場面ではお任せしていますね。
僕がメディアに登場するときって、俳優として・映画宣伝の一部として出演させてもらうことがほとんどなんですよ。情報があふれ、物凄いスピードで消費されていく時代に、媒体毎に着せ替えさせられ、馴染みのない服を着て宣伝をする。それがどうにも腑に落ちなかったんです。
20代半ばくらいから「普段の自分のままで、なるべく“嘘のない姿”で言葉を伝えたい」と思うようになりました。
――その考えに影響を与えた出会いなどがあれば教えてください。大きなきっかけとなったのは、スタイリストの北村道子さんの言葉でした。いくつかの現場でご一緒させていただくなかで、多くのことを学びました。ある日、北村さんと雑談していると、こんな言葉をこぼされたんです。
「日本の俳優って、みんな着飾って、決まりきった定型文みたいなことしか喋れない。自分の言葉を持っていない。海外の俳優はVネック1枚で、自分の感覚で、自分の言葉で話しているのよ?」と。確かにその通りだなと、ぐうの音も出なくて。
それからです。消費を煽る存在としてではなく、社会にメッセージを発するものとして俳優という仕事を捉えていなければと思いました。むしろ、その方が自分に合っていましたし。
3/6