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マホガニー材が「バターのように」切れる?

イギリスでも同じ類いの商品がよく売れている。ノコギリだ。レビュー欄で「マホガニー材がバターのように切れる」と賞賛される日本製ノコギリが、イギリスの売り上げ上位にランクインしているのである。研石までもがベストセラーとなっているあたり、どうやら海外の認識において刃物は日本の得意ジャンルであるらしい。
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他にも意外な製品としては、ノートや猫用の爪切り、水性ペンや接着剤など、こまごまとした日用品が挙げられる。私たち日本に住む大多数の人間がアマゾンなど使わず、近所のコンビニや100円ショップで済ませてしまうような商品群だ。

Getty Images

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イギリスではKOKUYOのキャンパスノートが人気である。海の向こうでこのノートは高級品の部類に入るらしく、なんと5冊セットで11ポンド、日本円で約2000円にもおよぶ。1冊約400円という計算になり、これは日本における5冊セットの値段と大差ない。昨今の強烈な円安を鑑みたとしてもなかなかインパクトのある値付けだが、それでもよく売れているようである。

レビューでは紙質や書き心地を賞賛するものが多い。「完全に平らに書ける」という、ノートの存在意義とも呼べる部分に対する大袈裟な褒め言葉まで並んでいる。
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「水性ペン」も

アメリカではPOSCAが人気だ。三菱鉛筆が販売している水性ペンである。POSCAの海外人気は目覚ましく、ストリートアートを描く際にスプレー缶の代わりに使われることもあるそうだ。

こちらのレビューもキャンパスノート同様、発色の鮮やかさや汎用性など、基本的な品質を賞賛するものが多い。また、他製品と比べてやや高価である点もキャンパスノートと同様だ。

このような、シンプルな日本製品のベストセラーには枚挙に暇がない。温度計、キッチンタイマー、絵の具、ミシン糸……。これらにつけられているレビューは共通している。すなわち、「割高だが品質が良い」である。

日頃から使い続けるものに求められるのは大きな革新ではなく、違和感を覚えずに済む使い心地、いわばその製品の本質とでも呼ぶべき部分である。「JAPAN STORE」での売れ行きを見る限り、少なくとも日用品(に、加えて刃物類)のジャンルで日本製品は本質が秀でていると海外から評価されているようだ。
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