名店③ 絶対王者のオリジナル味を堪能「つけ麺まぜそば ショウザン」

続いてご紹介する「つけ麺まぜそば ショウザン」も、名店「藤堂」が残した“遺産”のひとつ。
同店は、「めん処 藤堂」自身が、その営業の末期(2015年7月)に「別ブランド」として展開させた系列店で、本体である「藤堂」が店を畳んだあとも、閉店することなく営業を続けている。「藤堂」が手掛けたオリジナルの味が今でも堪能できる貴重な1軒として、特に、ラーメンマニアを中心に高い支持を得ている人気店だ。
店舗の場所は、伊豆箱根鉄道駿豆線・三島広小路駅から徒歩2分弱と、今回ご紹介する4軒の中では、アクセスが最も容易。同駅は三島の市街地の区域内にあるので、市内の観光と合わせて足を運ぶことも十分可能。ついでに申し上げれば、三島駅から徒歩で向かっても20分程度で同店へと到達することができる。

屋号が示すとおり、「藤堂」が開発した「つけ麺」と「まぜそば」を中心に提供しているが、「醤油ラーメン」も用意。具体的には、「醤油ラーメン」「油そば」「台湾まぜそば」「つけ麺」の4種類、及びそのバリエーションを提供している。いずれの商品も完成度が高く、それぞれに固定ファンが付いているほどだが、個人的にオススメしたいのは「つけ麺」だ。
豚の分厚く豊かなコクをフィーチャーした中濃スープの表面に褐色の魚粉が大量に浮かび、その魚粉を適宜のタイミングでスープに溶かし込みながら、食べ進める仕様。いわゆる、「自分自身で味をクリエイトしながらいただく1杯」で、ひと昔前に都内で大流行したタイプに属する。

私は、序盤は魚粉を溶かし込まず動物系のコクを存分に味わい、中盤から魚粉の溶かし込みに着手。一気にすべての魚粉をスープに溶かさず、段階的に溶かしてゆくことで、グラデーション的な味の変化を楽しんだ。
このスープの相棒となる麺も、その気になれば、スープに浸けずにすすっても、食べ切れてしまえそうなほどハイクオリティ。観光の合間にでもぜひ、足を運んでもらいたい。
つけ麺まぜそば ショウザン住所:静岡県三島市広小路町10-25営業:11:00〜14:30/17:30〜21:00定休:月曜日ほかInstagram@shozanmishima 名店④ 半世紀近く地元民に支持される老舗「ラーメン鈴福」

最後にご紹介するのは、「ラーメン鈴福」。上述したが、「鈴福」は、「味のなかむら」と並び、三島市内で食べておくべき老舗のひとつ。創業は1976年。国道136号線沿いの店舗の中でも最古参の部類に属し、半世紀近くにわたり、地元のお客さんの胃袋を満たし続けてきた名店だ。
店舗の場所は、「みのまる 三島店」から徒歩5分程度。公共交通機関でアクセスを試みれば、大場駅が最寄り駅となる。
ちなみに私は、「鈴福」には2回訪問している。同店は大きく分けて、「醤油味」と「みそ味」の2種類のラーメンを提供しており、「醤油味」と「みそ味」とではラーメンの内容がまったく異なるため、1度で訪問を済ませたことにするわけにはいかなかったのだ。
同店の人気ぶりは端的に申し上げて驚嘆に値する。ランチタイムを過ぎても、行列はまったく短くならず、客層も子供からお年寄りまで実に幅広い。並んでいる間、隣客の会話に耳を傾けると、「前回は手打ち麺の醤油を食べたから、今回は辛口みそにしようかな」、「毎回醤油を食べようと思うんだけど、ついみそを頼んじゃうんだよね」などという声が聞こえてきた。「鈴福」を訪れる客に一見さんは殆どいない。

そんな「鈴福」だが、あえて一品を選ぶとすれば、私は「辛口みそ」を推したい。
辛みと酸味とを、老舗ならではの「匠の技」によって細やかにミックスさせたスープは、辛み、酸味のそれぞれが強烈な存在感を放ちながらも、一方がもう一方を阻害することなく、相乗効果的に互いを高め合う、会心の出来映え。

私もこれまで数え切れないほどの味噌ラーメンを実食してきたが、似た味が容易に思い浮かばない点も、高評価に値する。
序盤は、あえて辛みと酸味を味噌に先行させる。そんな意外性のある構成に、思わずニンマリしてしまう。食べ進めるにつれて主役である味噌の風味が徐々に顕在化し、うま味のボルテージが最高潮に達した頃、堂々のフィニッシュを迎えた。
半世紀もの間、人気店の座を維持し続けてきた老舗の貫録を、肌身で実感させられた。確かに、「鈴福」は、三島で必ず食べておかなければならない店舗のひとつだ。
ラーメン鈴福
住所:静岡県三島市安久37-3
営業:11:00〜15:00
定休:月曜日