コンプラに抗う気はさらさらない

平和のくだりは冗談なのか本気なのかわからないトーンで話していたが、きっと本音なのだろうと思わせた。
単独インタビューでは、50歳を迎えた現在のマインドや視野を広げてくれた子育ての話、お笑いの世界におけるコンプラ問題など、多岐にわたる質問に応じてくれた。
――面白いものを作ることにおいて、昨今求められるコンプライアンスに対応するのは大変ではないかと思います。価値観のアップデートをどう意識しているのか教えてください。そういう「コンプラ」っていうものに抗おうという気は、もうさらさらないですね。ただただ、与えられたルールというか、許される範囲のなかで何かを作るということをやっています。
――時代の変化を実感することはありますか?それはあります。たとえばこの間もテレビのロケで「この辺のOLさんなんかも……」っていう僕のコメントが、テロップでは「会社員の方たち」ってなってました。
「いやいや、そこは絶対に女性じゃないと通じない内容なんだけどな」って思いましたけど、それに目くじらを立てたり、ダメ出しをすることはなくなりましたね。へー、という感じで受け止めています。
家族という“ブレーキ”があるから下ネタも言える
――ジャックナイフと呼ばれていた時代もありましたが、50歳になったご自身のマインドについて教えてください。若い頃に僕が想像していた50歳ってすごい厚みがありましたけど、こんなペラペラな50歳になるとは思わなかったですね。でもまぁ、子供ができて自分の視野が広がったのは大きかったと思います。
たとえばベビーカーなんて目にも留まらなかったというか、眼球が物質として捉えてなかった。いまは「このお母さんが押してるベビーカーはうちのと同じブランドだな」とか、子どもを抱っこしてるお母さんを見て「重たいだろうな」って感じることもあります。昔は重量を想像できなかったですから。
――ベビーカーで移動できる範囲って意外と限られてるんだとか……。そう。大変だなと思いますね。
そういう変化はお笑いにも多少の影響はあって、「スポンジ・ボブ」とか「はたらく細胞」っていうワードがネタに出てくるようになりました。
自分では絶対に選ばない作品を子供に勧められて観る。ただただこんなに面白いんだ!っていう発見がある。人間として広がりができてるってことだと思いますね。ペラペラな人間であることは変わりませんけど。
――家族の存在によって変化したことはほかにも?僕に家族がいることは世間の人に知ってもらえてると思うので、よりアクセルを踏み込めるという強みはあります。この感覚は芸人じゃないと理解しづらいかもしれませんが……。
家族というブレーキがちゃんとあるからこそ、ゴリゴリの下ネタを言えるというか。僕の場合は、結婚してからの方が下ネタが多くなってる気がしますね(笑)。
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