“若貴”を知らない世代と仕事をするということ
――笑いの作り方についてはどうですか?先日出演した番組の中で「芸能人の兄弟・姉妹と言えば?」っていうクイズが出たんです。僕は自信満々に「若貴!」って答えたんですけど、ベストテンにも入ってなかった。それどころか、共演している女の子が「誰ですか、それ?」って。
あれには驚愕しましたね。こっちも時代に合わせなければいけないし、新しい情報を仕入れていかないと、さすがに死活問題だなって。
――それは結構ショックですね……。ショックでしたよ。10位に入ってないのはまだしも、今の子は若貴を知らないのか……っていう。
――後輩との付き合い方や遊び方はどうされていますか?もう、誰の気分も害したくないと思って生きるようになりました。僕らが若い頃は「よし、そろそろ大喜利しよかー」っていう遊びをやってましたけど、そんなことしたくない後輩もいまはいるだろうなって考えるようになりましたし。
だから、付き合うメンバーはほぼ変わらなくなりました。チャンス大城とか、同世代が多いですね。
――そうなると自分の行動範囲が小さくなっていきませんか?行動範囲は小さくなっていくので、島を見つけては訪ねてみたりしてます。それはYouTubeで「離島旅」っていうシリーズで発信してますけど。
僕というソフトは同じだけど、ハードを変えていく感覚ですね。最終的にはすべてそうなっていくんじゃないかなと思います。自分の好きなものだけを深堀りしていく、みたいな。
――なるほど。
たとえば、僕らの時代は音楽番組で1位のキョンキョンの歌を聴くために、8位の細川たかしの歌から聴かなきゃだめだったじゃないですか。「北酒場」を我慢して、その先にチェッカーズがいて、あとは山本譲二だけ我慢すればキョンキョンが来るぞ!っていう(笑)。
いまは、そんなのがなくて、いきなりキョンキョンから聴ける時代ですもんね。
――昔の方が良かったと感じることもありますか?僕らにはそれが良さだったけど、もうそうなることはないですよね。何で3回も「氷雨」を聴かなきゃあかんねん!とか我慢する時代はこない。このたとえ話だって、多分もう通じないでしょう(笑)。
大切なのは無邪気さを忘れないこと
――年齢や時代が変わっても、変わらなくていいと思うことを教えてください。なんでしょうね。まぁでも無邪気さみたいなことじゃないですかね。自分の好きなこと、嫌いなことに素直でいる。それは普遍的なことです。
好きは好き、嫌いは嫌いって、これはもう仕方ないことですから。嫌いなものを好きになろうとしなくていいと思います。
――これから先の10年、20年とどんな芸人でありたいと思っていますか?今回の個展も芸歴35年のなかで初めてのことですけど、これからも初めてのこと、初めてのエンタメを作っていければいいなと思います。
SNSやYouTubeを筆頭に、僕らの時代には存在してなかったものだらけじゃないですか。これからもいろいろ出てくるでしょうし。自分の経験値の範囲に収まらないことをいかにやり続けていけるか、そういうことだと思ってます。
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画面越しに観る本人とは異なる、いい意味でのローテンション。15分という短い取材時間だったとはいえ語られた言葉一つひとつの密度は濃く、特に同じオーシャンズ世代には響いたのではないだろうか。
『作、千原ジュニア展』は3月31日(月)まで。来場者には大喜利に参加できるフリップが配布され、ジュニアさんが選ぶ優秀者にはプレゼントも。ご本人曰く「吉本らしからぬ充実ぶり」という記念グッズも見逃せない。
【個展情報】
個展名称「作、千原ジュニア展」
開催場所:PARCO FACTORY
住所:東京都豊島区南池袋1-28-2 池袋PARCO本館7階
開催期間:3月14日(金)〜3月31日(月)
時間:11:00〜21:00(最終日は18:00閉場)
入場料:1000円(大喜利フリップ付き)