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すべての写真を見るラグジュアリーの本質は、決して“高価なもの”とイコールではない。
例えば、持ち主にとってなにものにも代え難い唯一無二の逸品を、躊躇せず日常使いする。紛れもなく、最高の贅沢だ。
ここではそんな“プライスレス”な価値を知るおふたりに、一生手放したくない宝物を教えてもらった。
トム・サックスのペイント入りレザージャケット

2023年、新宿伊勢丹で開催されたトム・サックスのプレゼンテーションで展示された逸品。巨大なバックペイントを施したこのスエードジャケットは、溶接などの作業をする際に、トム本人が愛用していた一着。
ファニチャーや音響システム、陶器といったよく知られる作品とは一線を画す、アパレルというのも稀少性が高い。

「2年ほど前、好きな現代アーティストのひとり、トム・サックスが来日した際、共通の友人を通じて一緒にサーフィンを楽しみ、彼がプレゼンテーションに出展するために持参したスエードジャケットを直接譲り受けました。
これまで彼の作品をあれこれ手に入れてきましたが、ウェアを使ったものは稀。しかもペイントされていることも貴重ですが、“ガンガン着てほしい”というメッセージをもらったので、額装などせず普通に袖を通しています。
トムが仕上げたアートですが、これを着ることでペイントが剥がれたり、シワが増えたりと自分だけのアートに変化していく。そんな感覚は初めてで、着るたびに、えも言われぬ幸福感を味わっています」。
サイズ感も近藤さんにピッタリ。本人による製作年号のサインとオリジナルのタグが付く、まさに世界に一点のみのアートピースだ。
| クローバー代表 近藤昌繁さん 不動産会社オーナーにして、アートやクロムハーツの収集家でもある。2021年、下北沢にオープンしたカレー店「サンゾウ トーキョー」では、アート部門の監修を担当している。 |
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