ふたりにとってのラグジュアリーとは?

ダウンシャツ14万800円、ベルト5万600円/ともにビズビム(F.I.L. オモテサンドウ 03-5778-3259)、パンツ9万9000円/ビズビム 03-5468-5424、古着のタンクトップ4400円/ホワイトサークル white_circle_01、ネックレス16万5000円、右手のリング4万1800円/ともにゴローズ 03-3404-8079、ソックス2640円/ノンネイティブ(ノンネイティブ ショップ 03-5990-4720)、スニーカー1万4300円/コンバース オールスター エイジドOX フォー RHC(RHC ロンハーマン 0120-008-752)、バングルは本人私物
——おふたりが若いときに、贅沢だなと感じていたものは何ですか?木村 当事者以外の方たちにとっては何の価値もないと思いますが、友達と集まってくだらない話をしながら笑いあったりした時間ですね。ラグジュアリーという言葉が当てはまるかはわかりませんが、あの頃は相当バカだったし、相当イケてたと思います。
野口 同じ答えで恐縮ですが、やっぱり時間ですね。ともに過ごしてきた時間。それがあるからこそ今も変わらず、同じ距離感でいられるのだと思います。
——では今後、ラグジュアリーになりそうだなと感じるものは?野口 実際デニムとか、ヴィンテージアイテムは今すごいことになっていますよね。あとゴローズも。
木村 モノもそうだけど、それよりもこれからは“体力”だと思います。モノ自体は金があれば買えるけど、体力がなかったら何もできない。あとは自然な営みなど、目に見えないものがラグジュアリーになるのではないでしょうか。例えば田舎で自給自足の生活を送っている人たちは、すごく豊かで楽しそう。
野口 あ、そうそう、きわめて個人的なラグジュアリーですが。去年還暦の祝いで、後輩がブリオーニのスーツを作ってくれたんです。スーツを作ることなんてほぼないじゃないですか。ダブルのジャケットに、ブリオーニには通常ないすごくワイドなパンツ。これは、自分にとってかけがえのないものになりました。
木村 あ、僕も思い出した。去年バラエティ番組で、102歳の女性を自分のライブに招待させていただくという企画があったんです。ただ女性が住む群馬県からライブ会場の宮城県までは、陸路だと5時間は要する。ご高齢だから移動手段が限られるということで、ヘリを手配させてもらいました。
そのときに、こういう空路での移動をもっとカジュアルにできたらいいのにと思いました。「行きたい」とか「来てもらいたい」と思ったときに、気軽に空路が使えれば、もっと素敵な時間が増えるのになぁと。
例えば自分がプライベートでヘリや飛行機を持っていたとして、所有していること自体がラグジュアリーなのではなく、「行かなきゃ」とか「来てほしいな」っていう相手の気持ちに応えることができることのほうが豊かだと思うので。とはいえ、現実的には難しいんだろうな。
これは俳優やアーティストに限った話ではなく、アスリートやビジネスパーソンにもいえることで、これがあったら人生のラグジュアリーな時間が増えると思う。
——今後、ふたりでやりたいことはありますか?例えば旅行など。木村 旅行はないですが、ふたりで気持ち悪いクリスマスを過ごしたことはあります(笑)。
野口 あったあった!あれはやばかったね。
木村 東京タワーが見えるイタリアンレストランで、僕らのテーブル以外は全員カップル。しかも個室ではなく平場の真ん中の席だったから、四方八方から見られる。
——なぜそういうシチュエーションになったのですか?木村 当時、ふたりともクリスマスという行事に関心がなさすぎて、ただなんとなく連絡したら「今日何やってるの?」という会話になり、お互いに暇だったから、じゃあ飯でも行くかと。
僕が運転していたのでお酒も飲めないですし、この人も「拓哉が飲まないんだったら俺もいらない」って。シラフの男二人で、クリスマスに夜景のきれいなレストランでイタリアンを食べました(笑)。
野口 懐かしいな(笑)。今思えばあれはラグジュアリーな時間だったかも。
木村拓哉●1972年、東京都生まれ。91年SMAPのメンバーとしてメジャーデビュー。長年にわたり日本のエンタテインメント業界を牽引し、現在はYouTubeチャンネルやInstagramでもプライベートを公開する。
野口 強●大阪府出身。スタイリストの大久保篤志氏に師事したのち、独立。ファッション誌や広告を中心にスタイリストとして活動しつつ、マインデニムのディレクターも務める。
OCEANS 4月「これが“本当のラグジュアリー”」号から抜粋。さらに読むなら本誌をチェック!