すべてが手作業、自給自足の暮らし
翌朝は宿の主人が庭で作業するというので、覗きに行くと稲穂の状態で保存されていたお米がありました。数日分食べる量を脱穀するようです。
宿の早朝。宿の主人が脱穀の用意を始めた。
杵の形が日本と異なり、一本の棒状となっています。日本の杵は金槌の形で振り下ろして使いますが、フィリピンの杵は真下に叩きつけて使うようです。
石臼に籾殻付きの米が入れられ、「ドス、ドス」と突き20分くらいで脱穀終了。重労働だなと感じましたが、主人はひと仕事終えた清々しい顔をしていました。

手作業での脱穀後のお米。
お米を見せてもらうと形も色もそれぞれあり、マットな質感で肌色をしていました。宿の主人と案内をしてくれたジェフさんも田んぼを持っているそうです。この年に収穫し、食べる分だけ脱穀するのが彼らの日常。いつでも新鮮で美味しいお米を食べられるって、なんと贅沢でしょう。
朝食の時間にフィリピン人の観光客がおり、挨拶をすると、「甘いよ、どうぞ」とバナナをくれました。今まで見たことがない太さでサバと言う種類だそうです。久しぶりにバナナを見て僕はフィリピンにいることを思い出しました。それくらいバダットで過ごす時間が異世界だったのかもしれません。
握り拳サイズの「サバ」バナナ。
このバナナをくれた人たちはセブ島からこの景色を見に来たようで、フィリピン人も絶賛していました。
朝食を食べ終えて宿をあとにします。帰りのバスが満員で焦っていると、子供や男たちは車の屋根の部分に登り始めました。運転手さんから「君も乗れ」と合図されたので上に登り、1時間ほど耐えてバナウエに到着です。
20ペソ紙幣に「Banaue Rice Terraces UNESCO World Heritage Site」の文字と景色が描かれている。
バナウエもバダットと同じように山間にある町ですが、建物が多くバダット村に比べたら都会に感じます。しかしバナウエを少し離れると米棚が広がる美しい景色が広がっています。バナウエの景色はフィリピンの20ペソ紙幣に描かれており、国内においても有名だということがわかります。
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