⑤ ドーチーという新たなHIPHOPの救世主
最後に、今年活躍したなかで個人的にいちばん推したいアーティストを紹介しよう。8月30日に19曲入りのミックステープ『Alligator Bites Never Heal』をリリースしたドーチー(Doechii)というフィメールアーティストだ。
ここであえてラッパーではなく「アーティスト」と書いたのには理由がある。シンプルに彼女はラップだけでなくシンガーとしての能力も非常に高いのだ。その多才なスキルを余すことなく入れ込んだ今回のミックステープは圧巻であり、必聴作品だ。もちろん今年のグラミーでも新人賞とベストアルバム賞にノミネートされているので、そのクオリティの高さはお墨付きである。
しかも、上記のケンドリック・ラマーが以前在籍していたレーベルに所属しているので、成功へのレールはしっかりと引かれており、個人的にも今後はこのドーチーがHIPHOPシーンを背負っていくほど大きなアーティストになると信じている。
大規模なビーフやディディ事件というネガティブな出来事だけでなく、希望の花であるドーチーが飛躍した年。シーンにとっては本当にジェットコースターのように山あり谷ありな一年であった。今後も「2024年はHIPHOPにとってすごい年だった」と語り継がれるほど、節目の年になったのも間違いない。
皆さんも今後のHIPHOPシーンがどうなって行くのか? ぜひとも動向を見守っていただきたい。