懐古主義に陥らないフレアデニム


宍戸さんがまず手に取ったのは「カンタータ」のデニム。
「カンタータのデザイナーを務める松島氏は、大の服マニアでも知られています。そんな彼の魅力がそこかしこに見られる1本です。ちょっときれいめな印象で、517を思わせるフレアシルエットが特徴的。とはいえ、フレア感は大げさではなくとことんナチュラル。だから古さは感じません」。

「トップはホーンボタンでステッチもやや細め。随所に工夫が凝らされています。あくまで僕の主観ですが、男っぽいアイテムと合わせても“ザ アメカジ”にならないところが気に入っています」。
たしかにこの色味やシルエット、ディテールの妙などを見ると、チェック柄のネルシャツを合わせようとデニムシャツを合わせようと、アメカジ特有の土っぽさは抑えられそうだ。


「昔からデニムをモノとして捉えるより、コーディネイトしたとき全体でどう見えるかを考える方が好きでした。古着の目利きに必要な知識はつけてきたつもりですが、固定観念はありません」。
宍戸さんがデニムをはくとき、こだわるのは丈感。シューズ選びも重要だと語る。

「今回はプーマのスエードを合わせましたが、足元にニューバランスやUチップのモカシンなどボリュームのある靴を履く場合が多いですね。そうするといい感じに甲部に裾が被るんですよ。そのバランス感がすごい好きで。そこにニットをサラッと合わせただけでも大人っぽい着こなしになります」。
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