「日常に潜む社会の闇」とは...... 最近世間を騒がせている強盗事件。その実行犯として“闇バイト”が挙げられている。闇バイトとは、犯罪行為を行うことで報酬を受け取るバイトのことだ。
一見高報酬に思えても、ルポライターの村田らむさんはまったく割に合わないバイトだと警鐘を鳴らす。
案内人はこの方!
村田らむ●1972年生まれ。ライター、イラストレーター、漫画家。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海など、アンダーグラウンドな場所への潜入取材を得意としている。キャリアは20年超え、著書も多数。自身のYouTubeチャンネル「リアル現場主義!!」でも潜入取材や社会のリアルを紹介している。
昔から存在する「闇バイト」の構造
ここのところ、闇バイトという言葉が飛び交っている。ネット上で雇われた若者たちが、強盗を繰り返しているが、振り込め詐欺の組織から流れているケースが多いようだ。
実行犯は、指示役からの指示通りに動く。実行犯は、判断力が乏しい若者が多い。時に暴走して、傷害事件や、殺人事件にまで発展してしまう。家を襲っても、室内にある現金などたかが知れている場合が多いし、簡単に見つかるとも限らない。
家人を拉致してATMでお金を引き出させたとしても、現在は上限の50万円までしか下ろせない。つまり、それほど稼げる仕事ではないのだ。
それとは裏腹に、強盗致死傷罪は非常に重たい。刑法では以下のように規定されている。
「強盗が、人を負傷させたときは無期または六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑または無期懲役に処する」(刑法第 243 条)
つまり、全然割に合わない犯罪なのだ。闇バイトという言葉は最近できたと思うが、昔から同じ構造の犯罪はよくあった。「判断力の弱い人間を使って悪事を働く」という点に焦点をおいて、僕が実際に目にしたり、耳にした例を思い出してみた。
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