「日常に潜む社会の闇」とは…… 最近ニュースでもよく耳にする「ロマンス詐欺」。恋愛感情を利用した卑劣な犯罪だが、男性が被害者になるケースも多分にあるらしい。
案内人はこの方! 村田らむ●1972年生まれ。ライター、イラストレーター、漫画家。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海など、アンダーグラウンドな場所への潜入取材を得意としている。キャリアは20年超え、著書も多数。自身のYouTubeチャンネル「リアル現場主義!!」でも潜入取材や社会のリアルを紹介している。
“ベトナム戦争がトラウマ”という外国人に騙された女性
ロマンス詐欺とは、ネットなどで出会った異性を口説いて(騙して)お金を振り込ませる詐欺だ。国際的なロマンス詐欺では、イケメンや美女の白人を演じて騙すケースが多い。「戦争がトラウマになっている」「家族が事件で亡くなった」などの悲話を織り交ぜて相手を同情させることもあり、最終的にお金を振り込ませようとする。
僕の知り合いの女性Eさん(当時20代後半)は、15年ほど前に自称アメリカ人の20~30歳ほどの黒人とネット上で知り合った。
「ベトナム戦争で受けたトラウマが続いている。平和な日本人にはわからないと思う。あなたに癒やして欲しい」と言われたようだ。
写真はすべてイメージです。
ベトナム戦争は1975年に終わっているので全然タイミングが合わない。たとえ湾岸戦争だったとしても時代が合わない。ただ、このケースでは珍しいことに、Eさんは実際にこの男性と会えたという。
「会ってすぐに大人の関係になりました。セックスが終わったあとに、ベッドで彼が、『うわ~!! あ~!!』などと悶えるんですよ。ベトナム戦争の後遺症だと聞いていたので、必死で慰めました。デート代やホテル代は私が払いましたが、それ以上のお金は払えないと伝えると、ある日彼と連絡が取れなくなりました。その頃にはすっかり好きになっていたので辛かったですね……」。
Eさんはお金こそ取られなかったものの、身体を騙し取られていたとも言える。本人は寂しそうな言い方をしていたが、下手したらもっと酷い目に遭っていた可能性もあるのだ。
ネット上では、Eさんのような若い世代がターゲットになるのは珍しく、基本的には結婚適齢期をとうに過ぎた年齢の人が多い。インターネットのリテラシーがない世代を狙ってカモにしているところがあくどい。
さらにあくどい詐欺もある。「ロマンス詐欺で取られたお金を取り返します」と謳う弁護士に相談すると、金銭の振り込みを指示されるが振り込んでも実際には何もせず、結果的にさらにお金を損してしまうことも。
そもそも、ロマンス詐欺で騙し取られたお金を取り返すのは、非常に難しいのだ。
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