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ホームレス、若者......判断力に乏しい人が雇われる



僕は⻑年にわたってホームレスを取材してきていたが、彼らは昔からよく闇バイトに使われていた。具体的には以下のようなことだ。

・チケットの並び屋、花見・花火などの場所取りにホームレスを使う。
・通帳を作らせてそれを数万円で買い取る。その通帳は振り込め詐欺などで使われる。
・福祉マンションに入れて、生活保護を取得し、その大半を巻き上げる。
・ホームレスを手術して、診療報酬を稼ぐ。

ホームレスは安く使えるし、貧困ビジネスには欠かせない存在だが、最近はホームレスの数が激減している。巻き上げる側の人たちは、人材不足で困っていると聞く。



そんなホームレスの闇バイトでいちばん罪が重たいのは「運び屋」だ。

「A地点からB地点にカバンを運ぶ。ただしカバンの中身は絶対に見てはいけない」という バイトは昔からある。

とある有名女優が、テレビでかつて運び屋のバイトをやったことがあると言っていた 。運ばされているものは、おそらく麻薬だ。クリント・イーストウッドの映画『運び屋』と 同じ仕事だ。

国内で運んでいる分にはまだいいが、問題は海外からの輸入である。例えば、中国から日本に麻薬を輸入した場合、中国で捕まったら最悪死刑もあり得るし、実際に死刑になった人もいる。成功させたところでもらえる額はよくて数十万円だ。しかもそれも実際にもらえるかどうかは終わるまで分からない。



以前、かつて僕がインタビューした男性が逮捕されたことがあった。詳細を聞いたところ、人を使って中国から麻薬を輸入しようとしたとのことだった。なんと、女子高生を使ったらしい 。彼がなぜ女子高生を使ったのかはわからないが、ホームレスの確保が難しい今、判断力に欠ける若者が“駒”として使われるパターンは増えていくだろう。

運び屋とは少し違うが、毛布にグルグル巻きにされた60キロくらいの重さ(人間くらいの重さ)の物体を運ばされたという人もいた。自動車で運び、崖から投げ捨てたという。数人での作業になったが、中身が何であるかの会話にはならなかったし、誰も聞かなかったという。

実行犯のひとりとなった僕の知り合いは、「これは大きいトウモロコシなんだ。これは大きいトウモロコシなんだ」と自分を言い聞かせて捨てたという。


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