圧巻の自然環境の中に個性の異なるヴィラが点在
箱根旅の玄関口である箱根湯本駅前から、クルマを走らせることおよそ30分。御殿場へと抜ける国道138号線沿いに、控えめに現れる「箱根リトリート」のサイン。「箱根ガラスの森美術館」からほど近い場所と言ったほうがイメージしやすいだろうか。
手付かずの自然と名宿とアートな施設が程良い距離感で点在する静謐なエリアは、上質で落ち着いた滞在を求めるOCEANS世代にぴたりとハマること間違いなし。
ヴィラはすべて独立コテージ型(写真はNo.12号棟)。
宿泊したNo.16号棟(120㎡)は、リビングスペースの奥に、ダブルサイズベッド2台、さらに大きな浴槽やダイニングテーブルも備える。小さな子供連れのファミリーユースでも使い勝手が良さそうだ。宿泊料金は7万円〜(1泊2食付き、2名利用時の1名料金)。
リゾートは全55室。1万5000坪の広大な敷地内に、全3棟・37室のホテルと18棟のヴィラが建つ構成で、今回宿泊したのはヴィラのNo.16号棟。
というのも、18棟あるヴィラのうち、No.12〜No.18がこの8月に新設オープンしており、箱根リトリートの新たな顔となっているのだ。元々あった11棟のヴィラは、天然木の温かみを活かしたログハウス風の造りが特徴。新たに誕生した7棟はそのデザインコードを踏襲しつつ、よりモダンでスタイリッシュな印象に仕上がっている。
それぞれの客室の広さや間取り、設えはすべて異なり、どれを選ぶか非常に悩ましい。つまり、旅に出る前から“迷う楽しみ”があり、スマホで自分好みの一室を探すところから、すでに旅は始まっているのである。
切妻屋根の傾斜に沿って作られた三角窓が特徴的なNo.17号棟(90㎡)。周囲の緑を借景した開放感溢れるデザインで、自然との一体感を得られる。
No.12号棟にはライブ調理が可能なダイニングルーム&キッチンが付帯する。プライベートガーデンもあり、シェフズテーブルやプレミアムBBQといったスペシャルな夕食プラン(それぞれ料金は別途)をチョイスできる。隣接するNo.13号棟とコネクトすることで、3世代家族や小グループでの利用に応える。
また、内装デザインは異なるものの、全ヴィラ共通で暖炉&温泉風呂を標準装備しているところも見逃せない。無理に予定など詰め込まずに、豊かな自然を感じながらゆったりくつろぐも良し。思いっきり集中できる環境でクリエイティブな感性を磨くも良し。週末のリフレッシュにも、長期滞在にもベストな環境と言える。
細かい話で恐縮だが、「ヴィラに到着した時点でバスルームに適温の湯が張られている」というのも、温泉好きにとってはうれしいポイントだった。
もちろん、客室以外のパブリックスペースも充実。ホテル棟側に位置するカフェラウンジでは、厳選した挽きたて豆を使ったコーヒーや紅茶(宿泊客は無料)の提供に加え、専属ペストリーシェフが作るドゥミセックやスイーツを販売。
フリースペースの「フリーバード&テラス」には、ブックディレクターの幅 允孝氏が率いるバッハのディレクションによるライブラリーが設置されるほか、季節によって内容が変わるプレゼンテーション(サマーシーズンはかき氷やフルーツアイスティーが!)サービスも。
よりウェルネスな滞在に軸足を置くのであれば、温泉大浴場やスパトリートメントも外せないだろう。「1泊2日の滞在ではとても時間が足りない!」というのが率直な感想で、リゾートから一歩も足を踏み出さなくとも、決して飽きが来ることなく、心地いい時間を思う存分堪能できる。
本やボードゲーム、ギターなどを揃え、宿泊客の集いの場となる「フリーバード&テラス」。
敷地の奥深くに佇む温泉大浴場。14時〜24時、6時〜10時の営業。
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