OCEANS

SHARE

ダイハツは「ロッキーハイブリッド」、ホンダは、「ステップワゴンe:HEV」と電気自動車(BEV)の「e:N1」。

三菱は新型「トライトン」と新型「パジェロスポーツ」、スズキはEVコンセプトの「eVX」。日産は「セレナe-POWER」をお披露目した。

三菱自動車を除く、すべての日系ブランドはハイブリッドとBEVというxEV(=何らかの電動ユニットを持つクルマ)であった。

「パジェロスポーツ」は日本でも販売される「トライトン」のメカニズムを用いる(筆者撮影)

「パジェロスポーツ」は日本でも販売される「トライトン」のメカニズムを用いる(筆者撮影)


また、ホンダと日産はミニバン、三菱自動車は3列シートのSUVと、MPV的に使えるクルマだ。つまり、今回の日系ブランドの発表は、「xEVとMPV」という内容であったのだ。

日本以外では、BEVを前面に押し出す中国ブランドの出展が目立った。ブランド名を挙げれば、ウーリン、BYD、MG、チェリー、GWM、AION、JETOUR、NETA、DFSKというもの。

かつて英国ブランドだった「MG」は今、中国ブランドとなりEVに注力する(筆者撮影)

かつて英国ブランドだった「MG」は今、中国ブランドとなりEVに注力する(筆者撮影)


さらに韓国のKIA(起亜)とベトナムのVINFASTも、BEVをずらりと並べる展示を行っていた。

ハイブリッド5%、BEV2%の市場のこれから

振り返ってみれば、ショー会場の「どこを見てもハイブリッドとBEV」という状況で、インドネシア市場で電動化が注目されていることがうかがえた。

ただし、インドネシアの電動化は、まだまだ始まったばかり。2023年にインドネシア国内で販売された100万台のうち、ハイブリッド車は5万2434台、BEVは1万7062台でしかない。ハイブリッドでようやく5%台、BEVは2%未満である。

コンパクトで低価格なEVを中心にラインナップするウーリン(筆者撮影)

コンパクトで低価格なEVを中心にラインナップするウーリン(筆者撮影)


このうち、もっとも数多くBEVを販売したのは、格安の小型BEVを扱うウーリンだ。中国ナンバー1のEVブランドであるBYDも、インドネシアではチャレンジャーという立場になる。

また、出展していた中国ブランドの多くは、まだ本格的にインドネシア市場に進出していない。上陸前のプロモーションとしての出展であった。

いまだエンジン車が主流となるインドネシアでは、中国ブランドのEVや日系ブランドのハイブリッドが「虎視眈々と普及を狙っている」、そんな状況のようだ。

キア、フォルクスワーゲン、日産とグローバルなブランドがひしめき合う会場であった(筆者撮影)

キア、フォルクスワーゲン、日産とグローバルなブランドがひしめき合う会場であった(筆者撮影)


これまで、現地ニーズに合わせて日本とは違うモデルで戦ってきた日本ブランド。今後はインドネシアでも電動化が進んでいくはずだが、果たして日本のようにハイブリッドが普及するのだろうか。それとも、中国勢のBEVが先んじるのか。人口2.7億人の大きなマーケットだけに、その動向に注目したい。




鈴木ケンイチ=文
東洋経済オンライン=記事提供

SHARE

次の記事を読み込んでいます。