後輪駆動と四輪駆動のふたつのグレードから選択可能。航続距離640kmの前者は5.9秒で0→100km/hに達し、航続距離575㎞の後者は3.8秒という爆発的な加速性能を有する。全長4800×全幅1875×全高1460mm 528万円〜(後輪駆動)、605万円〜(四輪駆動)。
▶︎
すべての写真を見る 中国が誇るトップメーカー、BYDの「シール」を徹底分析!
美しくスポーティな流線形は、アルファロメオなどで辣腕を振るったウォルフガング・エッガーによる仕事。
プラットフォームとバッテリーを一体化させた独自設計により、ボディ剛性とハンドリング性能を飛躍的に向上するなど、その目覚ましい躍進ぶりに識者3名も期待大の様子だ。
ナメたらいけない完成度
今や年産300万台規模のメーカーとなったBYD。しかも乗用車のほぼすべてが電動化車両、うち半分がBEVとすごいことになっています。
多分に年間3000万台規模の自国内市場に支えられてのことですが、この勢いを武器に国外へと打って出ているというのがBYDの現状といえます。
このシールも然りですが、価格は大きな売りのひとつ。ただし安かろう云々ではなくプロダクトとしての質感もしっかりしており、日欧のライバルメーカーと比肩するレベルに達しています。
シールに乗り込んでみると、まず内装の作り込みに感心させられる。加えて床面がフラットなBEVならではの後席の足元回りの広さにも驚かれるかもしれません。
四駆グレードではスーパーカー並みの加速力を謳うシールですが、その速さは決して暴力的ではなくじんわり静か、でもとてつもなく速いというタイプです。
一方で、動力性能に対してフットワークが粗い面もあり、個人的には廉価な後輪駆動のほうが全体的なバランスの良さを感じました。
ともあれ、「中国の車でしょ?」とナメてはかかれないのは確かです。興味本位であれ、一度試乗してみることをおすすめします。
| 自動車ライター 渡辺敏史 出版社で自動車/バイク雑誌の編集に携わったあと、独立。自動車誌での執筆量が非常に多いジャーナリストのひとり。車の評価基準は、市井の人の暮らしにとって、いいものかどうか。 |
2/3