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地図から消された「うさぎの島」

3つ目は「うさぎの島」です。瀬戸内海に浮かぶ多くの離島のうちの1つに「大久野島」があります。周囲4.3キロメートルの小さな島ですが、野生のうさぎがたくさん島に住み着いているので「うさぎ島」とも呼ばれ、観光客の方々からとても人気の高い島となっています。

うさぎの島と呼ばれる、大久野島(写真:PhotoAC)

うさぎの島と呼ばれる、大久野島(写真:PhotoAC)


広島県竹原市の調査によると、大久野島には世界各国から観光客が訪れているそうですが、なぜここまでの人気スポットとなったのでしょうか?

そのきっかけは、『Laughing Squid』というサイトに1本の記事が投稿されたことです。“A Herd of Wild Rabbits Chase Down a Woman Giving Out Treat During Her Visit To Rabbit Island in Japan"(野うさぎの群れが、日本のうさぎ島を訪れた女性を追いかけた)という記事がSNSを通じて拡散され、かわいいうさぎに会おうと外国人が多く押し寄せたのです。

残念なことに、うさぎ目当ての観光客が増えることで、うさぎに対して悪影響が出てしまうことも事実です。観光客がうさぎに与えたエサの残りを放置して帰ることで、カラス、ネズミ、イノシシなどが寄り付き、生態系が乱れ、弱ったうさぎをカラスが捕食してしまうこともあるそうです。

大久野島は、かわいいうさぎに会える島というだけではなく、戦争のリアルを伝える島という側面も持ち合わせています。

この島は、1929年から1945年まで、第2次世界大戦で使用するための毒ガスを製造する日本の化学兵器製造拠点だったのです。重大な国家機密として扱われ、「地図から消された島」とも呼ばれています。

現在でも大久野島には数々の戦争遺跡が残されたままで、発電所跡や毒ガス貯蔵庫跡、砲台跡、火薬庫跡などを見ることができます。これからもっと大久野島が観光地として有名になることで、外国人にも知られざる歴史の暗部に光が当たることになるのかもしれません。





西岡壱誠=文
東洋経済オンライン=記事提供

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