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菌を増やさない「温度管理」が大切



――私たちはどう注意すればいいんですか?

まず、菌を付けないのが大前提。とはいえ「100%無菌」は不可能でしょう。どこにでも菌が付いているという前提で行動した方がいいと思います。そこで大事なのが「増やさない」こと。つまり、温度管理の徹底です。

――何℃にキープすれば、菌は増えないんですか?

20〜40℃までが、細菌が一番増殖しやすい温度です。最近は、朝でも夜でも30℃を超える日が続きますよね。細菌にとって増殖するのにちょうどいい温度なので、一日を通して注意が必要です。

食中毒を防ぐには、保存温度は低温(10℃以下)あるいは高温(75℃以上)が原則です。

――やはり消費者として1番気をつけるべきは子供ですよね?

食中毒の特徴は、100人が同じものを食べたからといって100人が発症するわけじゃないんです。感染しても、発症しない場合がある。どれだけ菌を摂取したかと、抵抗力の問題です。

なので、抵抗力の弱い子どもや高齢者は注意が必要ですし、夏バテなどで抵抗力が落ちている大人も同じです。

「鶏のからあげ」や「たこ焼き」も要注意!



――夏祭りで、冷やしキュウリのほかに気をつけるべき食品はありますか?


いっぱりありますよ。たとえば鶏の唐揚げ。唐揚げブームが続いていますが、鶏の腸管内に生息するカンピロバクターという細菌に注意です。焼き鳥も同じです。カンピロバクターは発生件数が多い食中毒で、主な原因は加熱不足。店が忙しいあまり、火入れがあまくなっていないか確認してください。

実は去年の夏に、流しそうめんに使われていた井戸水からもカンピロバクターが発見され、100人近くが食中毒を起こしています。鶏や家畜から排出された菌が湧き水に流れこんだことが考えられますが、加熱していない生水を口にする際も注意しましょう。

――怖いですね……。



たこ焼きや焼きそば、お好み焼きといった夏祭りの定番になっている「粉もの」にも食中毒の危険性は潜んでいます。粉ものは、一度にたくさん調理してパックに分けて売るケースが多いですよね。長時間パックに入ったまま常温で置かれると、でんぷんを好むセレウス菌という菌が増殖する可能性があります。

なるべく熱いうちに食べること。持ち帰る場合は、すばやく冷蔵し、中心温度が75℃以上になるよう、十分に加熱して食べてください。

また、長期冷蔵も避けましょう。特に夏は冷蔵庫の開閉が多くなり、庫内の温度も高い状態になりがち。冷蔵庫の過信は禁物です。



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