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2024.06.30

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パリ五輪・男子スケートボードストリート代表決定! 「1つのトリック」で堀込が逆転優勝



当記事は「FINEPLAY」の提供記事です。元記事はこちら。

パリオリンピック予選大会最終戦となる「オリンピック予選シリーズ(OQS)」2戦目のブダペスト大会のスケートボード・ストリート種目の男子決勝が、大会最終日となる6月23日(日)にハンガリー・ブダペストにて開催された。

今大会の決勝にはマティアス・デルオリオ(アルゼンチン)、リヒャルド・トゥリー(スロバキア)、ケルビン・ホフラー(ブラジル)、根附海龍、白井空良、ブレイデン・ホーバン(アメリカ合衆国)、小野寺吟雲、堀米雄斗という顔ぶれとなった。

やはり今回の注目は日本人選手たちによる代表権争い。なお決勝前の時点で、小野寺がオリンピック出場が確定したため、残り2枠を3人のライダーで争うことになった。その上で前回オリンピック王者の堀米雄斗はこのラストチャンスを掴めるかどうか、また白井と根附は猛追を振り切れるかが最大の焦点だ。

一方で出場権争いをしていた佐々木音憧、久しぶりのオリンピック予選出場となった金メダル候補のオーレリアン・ジロー(フランス)にも注目が集まったが準決勝でいずれも姿を消した。

そしてオリンピック予選で久しぶりの決勝進出となり、出場権獲得には2位以上が必須という条件の堀米雄斗。同様にアメリカ国内での熾烈な出場権争いをクリス・ジョスリンと繰り広げており、ブレイデン・ホーバンはクリスが準決勝で敗退したため順位次第ではポイントを逆転するチャンスを得た。

大会レポート

【ラン1本目】


トップバッターのマティアス・デルオリオ(アルゼンチン)は「スイッチバックテールハンドレール」、「トレフリップノーズスライド」など長身から繰り出させるテクニカルなライディングでフルメイクし、86.10ptのハイスコアでオープニングを飾った。

そして注目の代表争いをしている日本人選手からまずは根附海龍。ここでハイスコアを残し、他にプレッシャーを与え有利に立ちたいところだが、そのプレッシャーは自身にもあったか、中盤の「バックサイドクルックドグラインドノーリーキックフリップアウト」でミスし、ハイスコアはマークできなかった。

背水の陣で臨む前回オリンピック王者である堀米雄斗はこのチャンスを逃さなかった。「スイッチバックサイドリップスライド」でランをスタートしていくと「スイッチフロントサイドブラントスライド」などランセクションでの高難易度トリックをしっかり繋いでいき、ラストトリックの「ノーリーハーフキャブスイッチ5-0グラインドフロントサイド180アウト」まで完璧にフルメイクし、いきなり90.26ptをマーク。

堀米雄斗のライディング

堀米雄斗のライディング


プレッシャーのかかる立場から一転、ライバルにプレッシャーを与えることに成功し流れも引き寄せる立ち上がりを見せた。

【ラン2本目】


1本目のフルメイクで勢いに乗ったマティアスが、ラストトリックを「ビッグスピンキックフリップフロントサイドボードスライド」にアップデートするなど、さらにスコアを伸ばして91.92ptと暫定首位に浮上。

堀米が優勝しても自身の順位次第では、パリオリンピック出場権を獲得できる根附は「ヒールフリップバックサイドテールスライド」、「バックサイド180レイトショービット」、「キャバレリアルヒールフリップ」、1本目でミスした「バックサイドクルックドグラインド」もしっかり決めてリカバリーし、完全に立て直したかに見えた。しかしラストトリックの「ヒールフリップバックサイドリップスライド」でまさかの着地ミス。69.31ptと大きく出遅れてしまう。

同じく1本目でスコアメイクをできなかった白井空良は「シュガーケーン」からスタートしていき、「アーリーウープフロントサイド270フロントサイドボードスライド」、「フロントサイド180スイッチクルックドグラインド」など得意なトリックをしっかり繋ぎ、ラストの「キャバレリアルバックサイドテールスライド」まで完璧に決め切りリカバリー、スコアも87.11ptと好位置につけた。

白井空良のライディング Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

白井空良のライディング Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC


アメリカ内でのパリオリンピック出場権争いを繰り広げているブレイデン・ホーバンはラストトリックの「インポッシブル」で痛恨のミス。フルメイクとはならず。

すでにオリンピック出場を決めている小野寺吟雲は「キックフリップバックサイドテールスライド」、「ビッグスピンボードスライドショービットアウト」、「スイッチフロントサイド180バーレーグラインド」、「ノーリービッグスピンヒールフリップビッグスピンキックフリップボードスライド」など持ち味の難易度の高いテクニカルなトリックをフルメイクし90.08ptをマーク。

堀米はさらなるスコアアップのため、中盤のトリックで「ノーリーフロントサイド270ノーズスライド」にアップデートを狙うもミスしてしまう。

暫定首位マティアス、2位堀米、3位が小野寺と続き、トリックスセクションへ。

【トリックス1本目】


まずスロバキアのベテラン、リヒャルド・トゥリーが「スイッチヒールフリップバクサイド5-0グラインド」を決めて92.29ptとハイスコアを叩き出す。続くランの遅れを早い段階で取り戻したい根附は「ノーリーインワードヒールフリップフロントサイドボードスライド」をミス。

一方でトリックスセクションに強い白井は「キャバレリアルバックサイドテールスライドビッグスピンアウト」と世界最高峰の難易度を誇るトリックを一発で仕留め、92.51ptをマーク。

その後、ブレイデンも「バンクトゥキックフリップフロントサイドノーズグラインド」をスタイリッシュにパーフェクトメイクして91.17ptをマーク。
そして絶好調の小野寺も「フロントサイドブラントスライドビッグスピンキックフリップアウト」をしっかり決め94.89ptと続いた。

堀米雄斗のライディング

堀米雄斗のライディング


さらに流れを掴むべくトリックへ挑む堀米。「ノーリーフロントサイド180スイッチ5-0グラインド」をキンクオーバーのハンドレールで見事一発メイクし、95.65ptとこの時点でのハイエストスコアをマーク。
暫定首位に浮上した中で、残り4トライのうち1つのベストスコアメイクで優勝を勝ち取れるという非常に有利な展開に持ち込んだ。

【トリックス2本目】


なんとかスコアメイクしたい根附は「ノーリーインワードヒールフロントボードスライド」を成功、93.12ptと巻き返しの口火を切った。

根附海龍のライディング

根附海龍のライディング


白井は「ノーリービッグスピンバックサイドテールスライド」をしっかり決め、90.40ptと90点台に揃えた。続くブレイデンもバンクトゥレッジで「インポッシブル50-50グラインド」で89.90ptとトリックスセクションでフルマークに成功しアメリカ代表争いに望みを繋いだ。

ここで一気に勝負を決めたい堀米はなんととんでもないトリックに挑戦。
「ノーリーフロントサイド270ノーズブラントスライド」をいう背中側に270度回りながらハンドレールにノーズをピンポイントで掛けてスライドさせるとてつもない高難易度でリスクのある新技を出してきた。惜しくも成功しなかったが、これを見せたことにライバル達によりプレッシャーを与えることになる。


【トリックス3本目】


2本目で勢いを取り戻した根附は「ヒールフリップフロントサイドブランドスライド」をハンドレールで決め92.29ptとトリックセクションでのフルマークに成功この時点で暫定4位に浮上した。

トリックスセクションで勢いに乗るブレイデンはバンクトゥビッグレッジで「キックフリップバックサイドノーズブラントスライド」をパーフェクトメイク、96.00ptと現時点でのハイエストスコアをマークした。
小野寺は「バックサイドテールスライドキックフリップアウト」をバンクトゥレールで決め、91.49ptと90点台を連発する好調ぶりを発揮。


そして堀米は2本目で失敗した「ノーリー270ノーズブラントスライド」を2回目で見事に決めた。これには普段冷静な堀米も吠えた。スコアは97.10ptとこの日の最高得点を記録し、トータルスコアも283.01ptと唯一の280点台に乗せ暫定首位に浮上した。

【トリックス4本目】


現状ではパリオリンピック出場には3位以上になる必要のある暫定7位の根附は逆転を狙い「ヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウト」をハバレッジでトライするもミス。ラストトライに全てをかける。

根附海龍 Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

根附海龍 Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC


【トリックス5本目】


ここまでスコアをマークできていなかった前回オリンピック銀メダリスト、ブラジルのケルビン・ホフラーが「ハーフキャブバックサイドノーズスライドトゥバックサイドテールスライド」をハバレッジで決め90.07ptと最後に意地をみせた。

逆転を狙う根附は「ヒールフリップバックサイドテールスライドビッグスピンアウト」を決めるもスコアは伸ばせず7位となった。根附がパリオリンピックに出場する条件としては堀米が3位以下となる必要があるが、白井が満点となる100点をマークするトリックを決めても堀米には届かないため、この時点で堀米雄斗のパリオリンピック出場が決定した。

逆転優勝には98.05ptが必要な小野寺はビッグステアでの「バックサイドダブルキックフリップ」に挑むもミスし、2位で今大会を終えた。
ウイニングトライとなった堀米は「ノーリーレイトキックフリップボードスライド」をビッグハンドレールでトライするも決めきれなかったが、見事にオリンピック予選最終戦を優勝で飾り、大逆転でのパリオリンピック出場を掴み取った。


大会結果

Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC

Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC


優勝 : 堀米 雄斗 (日本) 283.01pt
2位 : 小野寺 吟雲 (日本) 276.46pt
3位 : 白井 空良 (日本) 270.02pt
4位 : リヒャルド・トゥリー (スロバキア) 266.09pt
5位 : マティアス・デルオリオ (アルゼンチン) 265.57pt
6位 : ブレイデン・ホーバン (アメリカ合衆国) 255.02pt
7位 : 根附 海龍 (日本) 254.72pt
8位 : ケルビン・ホフラー(ブラジル) 178.62pt

最後に


見事な劇的逆転優勝、大逆転でのパリオリンピック出場を決めた堀米雄斗。
前人未到のスケートボードオリンピック連覇に期待がかかる結果となった。
今大会の結果により、日本代表として小野寺吟雲、白井空良、堀米雄斗がパリオリンピックに出場内定。

堀米はこれまでのオリンピック予選では思うような結果が出せず、非常に苦しい約2年間だったが最後の最後でしっかり結果を出すのは流石という言葉以外が見当たらない。一方ここまで好調だった根附海龍は最終戦で逆転されてしまい、あと一歩のところで悲願だったパリオリンピック出場を逃してしまった。
このことから約2年間の戦いが、1つのトリックで明暗を分ける厳しい勝負の世界だということを改めて痛感させられたOQSブダペスト大会。

今大会でも表彰台を独占するなど「お家芸」と言われるほど、日本のスケートボードストリートが世界トップレベルであることを完全に証明している。その中で国内代表争いを強いられる世界一過酷なオリンピック出場権争いだと言っても過言ではない。これらを見事勝ち抜いた、小野寺、白井、堀米はパリオリンピックでもメダルに期待したい。

もう一つ熾烈な代表争いを繰り広げていたアメリカのパリオリンピック出場権争いはナイジャ・ヒューストンとジャガー・イートンが出場ほぼ確定する位置につけており、残りの1枠をクリス・ジョスリンとブレイデン・ホーバンが争った。
クリスがセミファイナルで敗退したため、ブレイデンは3位以上で逆転でのパリオリンピック出場権獲得だったが6位だったため、クリス・ジョスリンのパリオリンピック出場が確定した。

なおブレイデンのトリックセクションでのスコアが今大会3位の白井よりも上回っていたため、日本の根附同様ランセクションでのラストトリックのミスが大きく明暗を分けた可能性が高い結果となった。

このように、長期間に渡る各国代表争いが1つのトリックで全てを変えてしまうのがスケートボードである。そして、パリオリンピックスケートボードストリート男子は全22ライダーが確定となった。


パリオリンピックでもこの「1つのトリック」で明暗を分けることが起こる可能性がある。前回オリンピック王者、堀米雄斗の連覇か。あるいは新たなオリンピック王者の誕生か。
全ての可能性があるパリオリンピックスケートボード男子は、いずれにせよ世界最高峰のクオリティの大会になることは間違いないだろう。

上海大会に続き、各競技が協力してTEAM JAPANのサポートを実施



【ビクトリープロジェクトが選手サポートの一環として『パワーボール』を提供】

オリンピック予選シリーズ (OQS) ブダペスト大会では日本人選手たちが最高のコンディションで試合に臨めるように、「ビクトリープロジェクト」が帯同・サポートしている。

特に大会期間中は、「補食」を通じて選手のコンディショニングをサポート。サポート活動である「ビクトリープロジェクト」から生まれた栄養プログラムが「勝ち飯」だ。

「勝ち飯」は目的をかなえるカラダづくりに役立つ栄養プログラムで、そこで考え出された「パワーボール」には選手にとって嬉しい2つの特徴がある。

「ほんだし」入りでだしのうま味が効いている為、食欲がアップし、サイズが普通のおにぎりの約半分 で食べやすいというものだ。これによって、食欲がない状況でもエネルギーを確保することが出来る。



【ビクトリープロジェクト サポートディレクター上野祐輝氏のコメント】

パワーボールを摂る目的は、エネルギー補給です。特に試合当日はエネルギーを使う前に溜めておく、使ったらすぐ取り返してエネルギーを切らさないことが重要です。

『パワーボール』は食べやすいので、エネルギーをこまめに補給する「ちょこちょこ食べ」には最適なんです。そんな中で、「いつ、どのくらい」摂るべきかということは、選手と予め試合当日のスケジュールをイメージしながら決めていきます。

栄養補給の大切さはアスリートの方にも伝えたいですし、そのアスリートの姿を通じて一般生活者の方にも良いサイクルを生み出せればと考えています。

「勝ち飯」の栄養摂取の考え方やテクニックなどは、とても簡単で実践しやすいとのばかりです。それをより多くの人に知ってもらい、世の中みんなが健康になる。そんなサイクルが理想ですね。


Handout image supplied by OIS/IOC=写真
記事提供=FINEPLAY

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