当記事は「FINEPLAY」の提供記事です。元記事はこちらから。 皆さん、こんにちは。プロサーファーの水野亜彩子です。今回はサーフィン業界の生きる伝説「ケリー・スレーター」について、お話しをしたいと思います。
コンテストシーンの一時代を築き上げてきたケリー・スレーターが先日、西オーストラリア マーガレットリバーで行われたWorld Surf Leauge Champion Tour Western Australia Margaret River Proで*ツアーミッドシーズンインカットのランキング22位を下回ったことによりChampion Tourから脱落することが確定しました。
数々の偉業を残し、ギネスブックにも名を残しているケリー・スレーター。今回はケリー・スレーターが残してきた軌跡をいきたいと思います。
*World Surf Leauge Champion Tour 全10戦の内、前半5戦終了時点のランキングでメンズは36名から22名、ウィメンズは18名から10名にカットされるシステムのこと。 波の無い地域で生まれ育った
ケリー・スレーターは、1972年にアメリカ合衆国フロリダ州ココアビーチで3人兄弟の次男として産まれました。ココアビーチは比較的穏やかな波が多い地域。
サーフィンといえば西海岸のイメージがある方も多いと思いますが、フロリダでもWorld Surf Leauge Qualify Seriesが行われたこともあります。とは言ったものの、やはり西海岸の方がサーファーの人口も多く試合数も多くなります。なので東海岸で育ったサーファーが注目してもらう為には、まずは試合で成績を残す、ということが必要な要素になることも。
10代からコンテストの道へ
10代ですでに無敵のアマチュア選手として注目を集めており、4年連続で全米チャンピオンのタイトルを獲得。18歳でクイックシルバーと契約を交わします。
その後、19歳でChampion Tourにクウォリファイし、翌年20歳という若さ(最年少)で、世界チャンピオンを獲得します。この記録は歴代最年少記録となり、現在も塗り替えられています。まだ塗り替えられていません(のちに、ブラジル出身のガブリエル・メディーナ選手も同じ20歳で世界チャンピオンに輝いています)。
また、映画「モーメンタム」や「ブラックアンドホワイト」に出演するなど、サーフィン以外の場でも活躍し、世界中の憧れの存在となりました。
ケリー・スレーターの他にも2023年World Surf Leaugeワールドチャンピオンを獲得したキャロライン・マークスもフロリダ州出身の選手で、若い頃からコンペティターとして試合を転戦し注目されていました。そういった意味でもフロリダ州出身で活躍している選手は強いハングリー精神をもっているのかもしれません。
偉業の数々
史上最年少の20歳で世界チャンピオンを獲得してからもケリー・スレーターの活躍は止まることを知りません。1993年から5年連続世界チャンピオンを獲得。合計11回の世界チャンピオンに輝き、56回のChampion Tour優勝という素晴らしい功績がギネスブックの世界記録に登録されています。
56回のChampion Tour優勝は11カ国6大陸で獲得しており、最も多く優勝をおさめた国はオーストラリアで、そのうちゴールドコーストが13回、ベルズが4回で共に最多優勝記録となっています。
そしてケリー・スレーターがGreatest Of All Time通称、G.O.A.Tと言われる理由はまだあります。それは20歳で最年少世界チャンピオンの功績を保持すると同時に39歳で世界チャンピオンとなり、最年長の世界チャンピオン記録も獲得しているのです。
同じ選手が同時にこの2つの記録を持つことは他のスポーツをみても珍しいことだと思います。
ケリー・スレーターがどれだけトップに君臨しているのかお分かりいただけたかと思います。しかし、彼にはまだ素晴らしい活躍があるのです。
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