サーファー、柔術家 ジョエル・チューダー●1976年、カリフォルニア・サンディエゴ生まれ。88年に初めてのワールドタイトルを獲得。以後、2004年、21年と3度の戴冠を誇る。03年にブラジリアン柔術の世界に足を踏み入れ、大会にも意欲的に出場している。
▶︎すべての写真を見る 2021年、当時45歳でロングボードの世界チャンピオンに返り咲いたジョエル・チューダー。3度目となる戴冠は、彼が今も競争心を失っていないことを示した。
「ジャズやレゲエ、ヒップホップなど、多彩なジャンルの音楽を楽しんでいるね」。その音色は「マーシャル」のアンプを通して道場内を彩る。奥にはジョエルが「私的にコレクションしている」というヴィンテージボード。クラシカルなデザイン、ライディングフィールを現代に甦らせたジョエルのお眼鏡にかなった逸品。
史上最年長でのタイトル獲得について「いちばんの誇りはケリー・スレーターを上回ったこと」とお茶目なコメントを残したが、1990年代にトップシーンへ登場したケリーは、51歳の今も12度目の世界タイトルを狙ってプロツアーを戦うように、次から次へショートボードサーフィンをアップデートしてきた存在だ。
ボブ・マーリーのポートレートやアメコミのアートなど、空間はジョエルが愛情を抱くアイテムに包まれる。
そのケリーと歩調を合わせる形で登場したジョエルもまた、「ロングボードはおっさんがやるもの」という風潮を一蹴。優雅さと美しさをキーワードに世のロングボード観を新しく書き換えてきた。
ケリーと同じく、生きる伝説なのである。
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