足をケアすることは病気だけでなく、脳や精神の改善にも役立つ
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ーー自分でできる足の観察の仕方は? また、病院に行くべきタイミングを教えてください。 まずは、自分の足をじっくり観察してみることから始めましょう。タコやウオノメはないか、乾燥してガサガサでないか、変な色をしていたり、むくんでいるなどの異常がないかどうか、お風呂の中などでじっくりチェックします。
何か異変がある場合は、自己判断で済ませず、医療機関に行くことがおすすめです。足のタコや痛み、むくみ程度であっても、後々なんらかの重病につながることもあります。
「足病医」にいけば、重篤な症状になる前の段階で判明し、的確な治療を受け、早期に治療できることもあります。アメリカではもうかなり定着している「足病医」の存在を、日本でも知っておいて損はないでしょう。
ーー自分でも日常生活のなかでできる、足の元気を保つ簡単なケアはありますか? 足を若返らせるためには、「足首の柔らかさ」「土ふまずの形」「足裏の筋力」、この3点を改善させるのが大切です。
足首とふくらはぎの柔らかさを取り戻すなら、「ふくらはぎのばし」がおすすめ。壁に両手をついて、ひざを曲げずにふくらはぎを伸ばすだけです。
土ふまずの形を改善するには、「足裏運動」が良いでしょう。椅子に座り、足の裏を床につけ、かかとと小指を床につけたまま、足首を倒すようにして親指側を浮かせます。最後に小指で床を吐くように内側へと床をこすります。左右とも10秒×10回ほどおこなうといいでしょう。
足裏の筋力をアップさせるには、足裏運動が簡単です。椅子に座り、足を床につけたら、かかとはつけたまま、足指を5本とも大きく上に反らせます。次に親指だけを下ろし、足裏の力は抜かないまま、残りの4本の指をおろします。
最後に、床をつかむように足裏のアーチに力を入れ、指を5本とも下に曲げ、つま先を持ち上げます。両足共に5回ずつ行うといいでしょう。これだけおこなっても、実質3分くらいなので、気楽に始められると思いますよ。
ーー足を診れば糖尿病の兆候がわかる、といいますが、病気の予防にもなりますか? 群馬県の中之条という町で、15年以上にわたっておこなわれた「中之条研究」によると、健康を維持・増進するためには、1日平均8000歩以上歩くことが理想的、との結果が報告されています。
4000歩でうつ病の予防に効果が、5000歩では、認知症や脳卒中、心疾患などに効果が出るとされています。7000歩以上でがんや動脈硬化、骨粗しょう症にも効果が認められ、8000歩では降雨血圧症のほか、糖尿病、脂質異常症、メタボにも効果が報告されています。
歩行は全身運動であり、体が鍛えられるだけでなく、脳の働きを活性化させ、精神のケアにもつながります。だからこそ、歩けなくなることは、全身の健康状態を悪化させることにつながると覚えておきましょう。
上記で紹介した軽い足の運動など、今から簡単にできることはたくさんあるので、まずは足に関心を向けることから、始めていきましょう。
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まだ日本では認知度の低い「足病医」だが、菊地先生のクリニックでは、現在では検査も3カ月待ちの大人気だそう。足へのぞんざいな意識を、ちょっとだけ変えてみることは、将来生活のクオリティへの保険となるかもしれない。