「珍稀車図鑑」とは…… カーカスタムのプロ、エスアンドカンパニーの鹿田能規さんが出合った珍稀車(珍しい&稀少な車)を紹介する本連載。
今回は鹿田さんがアメリカ滞在中に見つけた数々の車から、ボディカラーにフォーカスしたトレンドを深堀り。
【写真9点】「ボディカラーが秀逸な珍稀車」の詳細写真をチェック 案内人はこの方! 鹿田能規さん●関西と関東に拠点を構えるエスアンドカンパニー。スーパーカーからノスタルジックカーまでクルマ作りの第一人者として全国にその名を馳せる。www.s-company.jp
日本とは全然違う! アメリカのボディカラー事情
ども。珍稀車ハンターの鹿田です。愛車をカスタムすることを、よく「自分色に染める」と表現しますが、今回は文字どおり「何色でボディを染めるか」問題についてお話します。
最近はボディカラーの選択肢が増えていますよね。メーカーの純正色でも派手な色がちらほら見受けられるようになったし、それに飽き足らない人たちはカーラッピングを選べるようになりました。昔は好みの色にしたいときは“ゼント(全塗装)”くらいしか方法がなかったんですが、ゼントしちゃうと下取り額が落ちちゃうんで、勇気がいったものです。でもラッピングなら、手放すときに剥がせばいいですから、チャレンジしやすいのがいいところ。
これまで日本で人気のボディカラーと言えば白・黒の2色でした。右にならえ、無難な色じゃないと下取り価格で損すると。僕も経験があるから、その気持ちは良く分かります。
けれど、アメリカ人はそんなこと、まったく考えていません。欲しいからその色を選ぶ。ただそれだけ。
例えばグレー……いや、灰色? いやいやネズミ色。アメリカではネズミ色が定番色で、この旧型のレクサスLSだって、白や黒なら単なる古めかしく見えますがネズミ色に純正クロームホイルだと、なんだか洒落て見えてしまうから不思議です。
レクサスLS。西海岸という背景にもよく似合います。おじいさんとおばあさんが犬を連れてこのLSで花を買いに来てました。
同じく白・黒が定番のゲレンデ(Gクラス)でネズミ色なんて、めちゃくちゃオシャレでしょ?
ゲレンデは2018年のフルモデルチェンジでW463A型になってから、ボディカラーのレパートリーがだいぶ増えましたね。
(メルセデス・ベンツ)R232のSLだって、ツヤ消しのネズミ色でこれだけ品があります。マットカラーってやっぱりアメリカのものなんだよな、と改めて認識させられます。
西海岸で朝に開催されるイベント「cars&coffee」に来ていたSL。朝日を浴びるツヤ消しグレーって、アメリカで見たら何故こんなにも品があるんだ!と、思わされます。
艶消し、つまりマット系って、アメリカでは昔から市民権を得ていたんです。日本では最近ようやく増えてきた感じですよね。
特にマットブラックは、日本ではかつて“ちょっとヤンチャ”なイメージがありましたけれどね。拡声器から怒鳴り声が聞こえる車とか、結構怖い方々がよく選んでいましたから。
それが今じゃ、普通の女の子が「マットブラックかっこいい!」って言う時代です。時の移ろいは恐ろしく早いものですね。
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