当記事は「FUTURE IS NOW」の提供記事です。元記事はこちら。 近年、一度築きあげた価値観や環境を手放し、新しい挑戦をする人が増えたように思います。そんな大人の生き方は、少し先の未来ではより当たり前になっているでしょう。
船乗りやバーテンダーなどさまざまな職を経て、世界を舞台に活躍するアーティストとなった黒田征太郎さん。現状に固執することなく、今なお新しいことに挑戦し続けるエネルギーの源は何なのでしょう。そもそも黒田さんは自身の活動を「挑戦」と捉えているのでしょうか。黒田さんが人生で重ねてきた選択をひも解きながら、生きるヒントを探ってみます。
黒田征太郎さん(くろだ・せいたろう)
画家・イラストレーター。1939年大阪生まれ。米軍軍用船乗務員など多くの職業を経て、1969年、長友啓典氏とデザイン会社〈K2〉を設立。1992年よりニューヨークにアトリエを構え、国内・国外で幅広く活動。主な作品は『KAKIBAKA』『戦争童話集・全4巻』『風切る翼』『もじと絵』『リオ 旅に出た川』他。2004年「PIKADON PROJECT」を開始。2009年、活動の拠点を北九州市門司区に移し、門司港駅改築工事の期間中限定で展示された「門司港ドリームギャラリー」やライブペインティング、壁画制作等を精力的に展開。
僕らは人間として、ただ生まれてきただけ
編集部 黒田さんは若い時から現在に至るまで、常に新しいことに挑戦し続けているように見えます。
黒田さん 僕自身は挑戦しているとは思ってないんですよ。挑戦っていうと、決然としてとかね、敢然としてみたいな、考えて、考えて、「よし!行こう」という感じでしょ。でも僕は、そういう感じじゃないですから。
編集部 なるほど。ただ何にも縛られず、自由に生きていらっしゃる感じが、私たちには挑戦しているように見えるのかもしれません。
黒田さん 僕には「こう生きないといけない」というのはないですからね。僕らはみんな、人として等しく生まれてきているわけで。生まれた時に、どういう風に生きろとか、あんたの将来はこういう風に決まってるんだとか、言われてないですよね。ただ、人間として生まれてきただけです。だから「なぜ生まれてきたんだろう」と自問自答しながら、じっくり人生を味わって生きていく。僕はそれが面白いからそうしているだけです。
編集部 そういう意識は子どもの頃からあったのですか?
黒田さん 小学校で先生が1+1=2とか教えてくれるでしょ。でも僕は、「これって、何してんの?」って思っていました。だから手を挙げて正直に「先生は僕に何を教えたいんですか?」って聞いたこともあります。そしたら「余計なこと考えるな!」って怒鳴られました。もし先生が数の論理を面白おかしく教えてくれていたら、算数を好きになっていたと思うんです。でも学校はそういう場所じゃなかった。何か仕立てあげられていく感じが好きじゃなくて、だから僕は「いち抜けた」って。
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