ベントレー「ベイビーII」。レースカー「タイプ35」の3/4サイズで、実際に走らせることができる。
ジュニアカーと聞けば、ペダルをこいで走る子供用のオモチャの車を思い浮かべるのが庶民の相場。しかしセレブはちょっと違うようだ。
子供のみならず、大人も熱狂する超高級ジュニアカー。そんな“大人のオモチャ”の最高峰が、ブガッティとベントレーから登場していた。
【写真13点】ブガッティとベントレーのジュニアカーを写真でチェック ブガッティが4歳の息子のために作ったジュニアカー
1926年、ブガッティの創始者エットーレ・ブガッティは、末っ子のローランの4歳の誕生日に、同社の有名なレースカー「タイプ35」を忠実にハーフサイズで再現してプレゼントした。
それだけでも、セレブの子供が羨ましいのだが、 “息子のためだけのワンオフ”で作られたこの車が意外と周囲から好評で、結局1927年から1936年にかけて「ベイビー」として500台ほど販売された。
創始者エットーレ・ブガッティが息子の誕生日にプレゼントしたハーフスケールのタイプ35。
それから約1世紀後の2019年。ベントレーは創立110周年を記念して、このベイビーの後継車たる「ベイビーII」を発表した。
今度は現存するタイプ35を3Dスキャンで採寸して、3/4サイズに再現してみせた。
ノーズに備わるブガッティのバッチは同社のスーパーカー「シロン」と同じ50gの純銀製。
後輪をモーターで駆動させ、取り外し可能なバッテリーを搭載。最高速度が20km/hに制限される「チャイルド・モード」と、同45km/hに制限される「アダルト・モード」、さらにオプションでより速く走れる「スピード・キー」も選べる。
オリジナルにならい、ベイビーIIは500台限定で販売されたが、わずか3週間で完売。価格は3万ユーロ(現在のレートで約500万円)だった。
ブガッティの特徴であるターンド・アルミニウムのダッシュボードがベイビーIIにも備わる。
これでブガッティが気を良くしたのか、「買えなかったじゃないか!」と世界中からお叱りを受けたからのか定かではないが、2022年に再びベイビーIIを販売。
カーボンを多用して軽量化されたこの「ベイビーII カーボンエディション」は、同年に発表された「W16ミストラル」をオマージュして作成されたもの。価格は8万ユーロ(同1400万円)。
「W16 ミストラル」のオマージュとして製作された「ベイビーII カーボンエディション」。
W16ミストラルは同社最後のエンジン車と宣言されていて、1600psを発揮する8LのW型16気筒というバケモノのようなエンジンを搭載する。
500万ユーロ(同約8億5000万円)で限定99台が販売され、デリバリーは2024年だというのに即完売したスーパーカーだ。
2024年にはタイプ359がリヨン・グランプリでデビューを飾ってから50周年を記念して「ベイビーII タイプ35 センテナリー・エディション」も製作された。
そして「ベイビーII カーボンエディション」は、このW16ミストラル購入者のみが手に入れることができるのだという。
まあ、8億円をポンと払えるセレブにとったら、1400万円なんて高くもなんともないのかもしれない。
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