「変わらない」ことが大きな価値であるメルセデス・ベンツ「Gクラス」。
1979年の登場から約40年後の2018年にようやく現行型へフルモデルチェンジした際も、同社はあくまで“アップデート”だとした。
そして2024年3月、6年ぶりとなる“アップデート”が行われた。こちらは、いわばマイナーチェンジ級の“アップデート”だ。
【写真11点】中身が激変した「新型Gクラス」を写真でチェック 新型Gクラスのフロントグリルに備わる水平ルーバーは3本から4本に変更された。写真は「G500」。
角張ったエクステリアデザイン、特徴的なドアハンドル、背面のスペアタイヤケースなどGクラスらしいディテールは従来通り。
まず見た目が変わった。といっても「ゲレンデヴァーゲンでしょ? 知ってます」程度の知識だと、どう変わったのか分からないかもしれない。
例えばグリルの水平ルーバーは3本から4本になった。前後のバンパー形状も変わっている。また細かい所でいえば、Aピラーに被さっている樹脂パーツの形状をスッキリとさせることなどで、空力性能の向上が図られた。
写真は「G63」。メルセデスAMGモデルは従来同様、フロントグリルが縦のルーバーになるようだ。
そして独特の、カチャッと開くドアハンドルは、形はそのままに小さな接触式スイッチが備わり、キーレス&ゴーができるようになっている。
インテリアもぱっと見は従来とほぼ同じ。しかし、MBUXがついに搭載された。「ハイ、メルセデス」から始める会話であれこれ操作できる、アレである。
同時にディスプレイがタッチ式のメディアディスプレイになり、スマートフォンとワイヤレスで接続ができるようになった。
リアのナンバープレートにリアビューカメラが備えられた。汚れに備えてワイパー液のノズルが取り付けられていて、リアウインドウをワイパーで洗浄すると同時に作動する。
また「MBUXハイエンドリアシートエンターテイメントシステム」なるものを選べば、リアに11.6インチのタッチ式ディスプレイが備わり、後席でもネット経由で好きな動画が楽しめる。
もちろん、陸の覇者たるGクラスだ。オンロード/オフロードの走行性能もアップデートされたのは言うまでもない。
ドライブモードでは、オフロード用の「トレイル」「ロック」「サンド」の3つのモードが選択可能になり、ボディ前部の下の状況をカメラ映像で確認でき、オフロード走行時に役立つ多種多様なデータをディスプレイ上に表示できる。
インテリアデザインも従来同様。ただし機能の向上に伴い、ステアリングは最新世代のマルチファンクションステアリングホイールが備わる。
このように、相変わらず見た目を変えずに、中身をアップデートしていくGクラスらしい進化が図られたが、今回の最も大きな変更点は、やはりパワートレインだろう。ついに電動化が施されたのだ。
ステアリング奥に備わるディスプレイ。地平線やコンパス、高度、ディファレンシャルロックのステータス等々さまざまな情報が表示される。
3L直列6気筒ターボを積むG500と、3L直列6気筒ディーゼルターボを積むG450d、最高出力585psにパワーアップした4L V8ツインターボを搭載するトップグレードのメルセデスAMG G63は、いずれもマイルドハイブリッドとなった。
100万通り以上の組み合わせが可能なMANUFAKTURカスタマイズプログラムも用意されている。
さらに、Gクラスの新時代を象徴する、電気自動車(BEV)の「G580」も、このアップデートとほぼ同時に発表された。
「G580」。他のEQシリーズ同様、ツルンとしたフロントグリルになる。
昨年のジャパンモビリティショー2023(旧・東京モーターショー)で、コンセプトカー「EQG」として紹介されていた、アレだ。
4輪それぞれにモーターを搭載することで4輪の緻密な制御が可能になり、その場で360度回転することも可能。システム合計の最高出力は587psで、最大トルクは1164N・mにもなる。一充電の最大航続距離は473kmだ。
バッテリーは、他のGクラスと共有するラダーフレーム(梯子状のフレーム)の、梯子の隙間に搭載。強固なアンダーボディで覆うことで耐衝撃性と耐防水性を確保し、内燃機関のGクラスの700mmを上回る750mmの水深まで河を渡ることができる。
「G580」。背面にはスペアタイヤの代わりに充電ケーブルが収められている。
変わらぬ見た目と裏腹に、魅力がマシマシにアップデートされたGクラスは、日本にもいずれやってくるだろう。
買い替えてもパートナーに「なんで前と同じ車に買い替えるの?」なんて言われそうだが、そんなひと言への答えは、ちゃんと語り尽くせないほどありそうだ。