NMNは生命維持に不可欠なNAD+の減少を補う
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――老化を克服するには何から始めたらいいのでしょうか? ジョギングなどの適度な運動、また糖質を摂りすぎない食生活と同じく、「若返り成分」などと呼ばれるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)の摂取は抗老化の対策になります。
――NMNが抗老化、若返り成分として注目されるようになった経緯を教えてください。 もともとNMNは、糖尿病における効果をワシントン大学医学部の研究チームが発見し、その後、アルツハイマー型認知症や心臓疾患への効果が確認されました。
日本では2015年にNHKの番組で、NMNの抗老化作用が取り上げられて話題になりましたね。
――話題といえば、NMNの投与で、ヒトでいうところの40歳もの筋肉の若返りがあったというマウス実験があったそうですが……。 マイナス40歳という具体的な年齢は疑問ですが、そこまで非現実的な話ではありません。このマウス実験(Cell Metabolism Volume 24, Issue 6, 13 December 2016, Pages 795-806)では、各臓器⽼化症状、加齢疾患の発生が遅延した結果が出ています。
NMN経口投与(300mg/kg)1時間後、骨格筋に対して関与していたことがわかっており、このことは腰の湾曲など、老化に伴う衰えを抑える可能性があることを示します。
――NMN摂取で、なぜそのような抗老化が可能なのでしょうか? 下のイメージ図で示しているように、サーチュイン遺伝子を活性化させ、細胞内のエネルギー産生に必須の成分NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、体内で自然に作られているものの、加齢に伴い生産量が徐々に減少します。
そこでNAD+そのものを補えればいいのですが、不安定な成分なので直接の摂取は不可能。NAD+を補うには、NAD+の前駆体であり、安定的に供給できるNMNの摂取が必要となります。NAD+がしっかり満たされていれば、細胞は若いままでいられるというメカニズムです。
スポーツ選手のエネルギー補給でおなじみのアミノ酸なども最終的にはNAD+に変換されますが、前駆体であるNMNを摂取するのがもっとも効果的です。
NAD+は細胞内のミトコンドリアでエネルギー(ATP)をつくる際に不可欠な成分。NMNはビタミンB3からつくられる成分で、摂取すると細胞内に取り込まれてNAD+に変換される。 画像提供)澤邊昭義先生
NMN摂取による、サーチュイン遺伝子への活性化から期待できるヒトへの効果
●加齢に伴う体重増加の抑制
●エネルギー代謝の促進
●身体活動の上昇
●インスリン感受性の亢進
●脂質代謝の改善
●骨格筋ミトコンドリアの改善
●主要代謝組織での老化に伴う遺伝子発現変化の抑制
●免疫細胞数の改善 など
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